薬剤師の派遣ってどうなの?メリットとデメリットを転職のプロに聞いてみた

更新:2015年12月14日
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薬剤師の派遣ってどうなの?メリットとデメリットを転職のプロに聞いてみた

こんにちは! 薬剤師のみどりです。

さて、あなたは「派遣の薬剤師として働く」というのをキャリアの選択肢に入れたことはありませんか?

薬剤師の派遣は、他の業界の派遣にくらべてとっても高時給。時間の融通も正社員より効きやすそうだし、ちょっと興味あるな〜という方も多いのではないでしょうか。

でも、あまりに時給が高過ぎると「逆に何か裏があるんじゃ……?」って勘ぐってしまいますよね。あと、派遣切りにあって路頭に迷ったりしないか心配、なんて方も居るかもしれません。

そこで今回は、すこしでも「派遣」という働き方に関心がある方の不安を解消するために、薬剤師の派遣の事情に詳しいプロのキャリアコンサルタント、ドラおじさんに「派遣で働くメリットとデメリット」を聞いてきました!

登場人物紹介

ドラおじさん

薬剤師専門の大手人材紹介会社から独立した、キャリアコンサルタント。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。
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みどり

都内の製薬会社でDI・学術担当として従事する、現役の薬剤師。転職経験は1度だけアリ。全国の若手薬剤師を代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!

今回のテーマは「派遣」ですね。

派遣って、私はまだやったことないんですけど、実際にやってる薬剤師の友だちは何人か居ますね。あと、なんかすごい時給が高いっていう広告をよく見かけます……。

そうですね。薬剤師の派遣は事実かなり高時給ですし、そこに興味を持ってご相談に来られる方はとても多いですよ。

ただ、もちろん全ての人にオススメしている訳ではないです。高時給になるのにはちゃんと理由がありますし、派遣という働き方でできること、できないことがありますから、今回はそのあたりを解説するつもりです。

分かりました。よろしくお願いします!


1.派遣のメリットは、高収入と、自由すぎる働き方!

ということで、まずは転職サイトで実際にどんな派遣の求人が出ているのか見てみましょうか。これは「ファルマスタッフ」という紹介会社のサイトに載っている、派遣薬剤師の求人の例です。

メディカルリソースの派遣求人の例

土日休みOKで週3日、18時定時で時給3000円ですか……これって、けっこう良い条件ですよね?

そうですね。まあベーシックな内容ではありますが、薬剤師の派遣の条件としては良い方です。

薬剤師が派遣ではなくパートで働く場合、時給は1,800円から2,200円くらいが相場です。しかし派遣の場合は、2,500円から3,000円くらいが相場になっていますね。

へぇー……派遣のほうが、パートより700円くらい高いんですね。

ちなみに僕が今まで見たことがある中で一番すごかったのが、鹿児島の薬剤師が全然いない地域の薬局で、時給9,000円っていう派遣の求人がありましたね。

きゅ、9,000円!? 日給の間違いじゃないんですか?

いいえ、時給です。ま、これは極端な例ですけどね。

あとは派遣と正社員をくらべてみても、たとえば正社員の方の年収が500万円の場合、時給に換算するとだいたい2,500円くらいなんですけど、仮に時給3,000円の派遣の方が同じ時間だけ働いたとすると、だいたい年収600万円になるんですよ。

えっ、じゃあ正社員よりも派遣のほうが、年収が100万円高いってことですか?

はい、この場合はそうなりますね。

あの、なんでそもそも派遣薬剤師って給料が良いんですか? 代わりに馬車馬のように働かされるから、とかですか?

いやいや、全然違います……これはどうしてかというと、ものすごくざっくりいうと、派遣は、人がどうしても足りないような職場に割り当てられるケースが多いからなんです。

あー、そうか! だからその分、ちょっと時給が高くなるんですね。納得。

そうです。要は、僻地の薬剤師の年収が高くなるのと理屈は同じです。

あれ? でもそうするとやっぱり、派遣は仕事が忙しくて大変、ってことになりませんか? 残業も、嫌々やらされたりとかして……。

いえ、それは無いです。そんなことをしても、薬剤師さんに辞められて薬局が困るだけですから。実際、派遣薬剤師は正社員よりも勤務時間の融通が効きやすいですからね。

たとえば、9時から13時までしか働けないという場合は、その内容で調整してもらえますし、絶対に残業したくないという場合は、残業の発生しない勤務先を調整してもらえます。

給料が良い上に、時間のワガママも聞いてもらいやすいなんて、なんか悪いことしちゃってる気分になりそうですね……。

良いんですよ、そんなことは気にしなくても。薬剤師さんのワガママを叶えるのもコンサルタントの仕事ですから。

ですから派遣というのは、お子さんを持っている薬剤師さんや、趣味などのプライベートを優先させたい薬剤師さんにはぴったりな働き方と言えます。

派遣なら、理想のライフスタイルを実現できるかも?

あとは逆に、短期間でお金をたくさん稼ぎたいから、あえて残業が発生しやすい派遣先で働くという選択肢もあります。

「残業がしたい」だなんて、そんな人いるんですか?

いや、居ます居ます。例えば、田舎でもどこでもOK、とにかく給料が高ければ何でも良いです!って言って派遣で3ヶ月働いて、契約が終了したら1ヶ月くらい海外旅行に出かけて……みたいなことを繰り返している薬剤師さん、ときどき居ますよ。

すごい……自由すぎる……。

羨ましいですよね。だからこういう自由な働き方ができるのも、派遣の大きな魅力だと思うんです。


2.派遣のデメリット。派遣薬剤師は、勤務地を選べない

あの、いま私、派遣っていう働き方が魅力的すぎて、ちょっとやりたいなって気分になってるんですけど。もちろん、デメリットもありますよね? 

残念ながら、ありますね。デメリットは大きく2つあります。まず1つ目は「勤務地が選べない」ことです。

これは薬剤師に限った話ではないんですが、派遣業というのは「派遣法」によって規制されていて、同じ職場には原則として1年間しか居られないことになっているんです。

えっ、そうなんですか? 私の友だちで、同じ職場で1年以上派遣で働いてる人、いますけど……。

えっとですね、1年というのはあくまで原則で、派遣先と調整することで最長で3年間まで延長することも可能なんです。

ただ、まぁ……正直、半年も居たらいい方ですね。だいたい、3ヶ月おきくらいのペースで勤務地を変えている薬剤師さんが多いですよ。

そうなんだ。でもさっき、派遣会社さんが勤務時間をうまく調整してくれるんだって言ってたじゃないですか。同じように、勤務地も調整してもらえないんですか?

そりゃもちろん調整しますけど、必ずしも条件に合う勤務先が近場で見つかるとは限らないので、遠くに通勤しなくてはいけない可能性も出てくるんですよ。だから、条件をたくさんつければつけるほど、勤務先の候補は減りますし、遠くなります。

じゃあ場合によっては、条件が厳しすぎて派遣先が見つからないなんてこともあるわけですか。

ありますね。例えば、派遣でよくあるのが「子供の都合で、自宅から徒歩15分以内、9時から13時でしか働けない」という条件の人。これ、かなーり勤務先が限られてきます。最初の派遣先はなんとか見つかったけれど、次の派遣先がなかなか見つからない、なんてこともあります。

そうなんだ……いやー、あちこち転々としないといけないのは、嫌ですね……。

独身の方だとフットワークが軽いので、大丈夫なんですけどね……。お子さんがいらっしゃる薬剤師さんだと、場所も限定されますし、保育園のお迎えで6時までに上がりたいなんてケースも多いので、派遣先を探すのがけっこう大変になります。

だから派遣になったら、派遣会社から提案される勤務地にがんばって行くか、断るかのどちらかを何度も選択しなければいけないんです。

条件に合う勤務先が近場で必ず見つかるとは限らない!

いい派遣先がなかったら、毎回、苦渋の決断をしなきゃいけないわけですか……。

それで、もうひとつの派遣のデメリットというのは?

2つ目のデメリットは「患者との関係構築ができない」ことです。これ、あまり指摘する人がいないですが、今後とても重要になるポイントです。

薬剤師の派遣は、患者さんとの関係を構築する前に契約期間が満了してしまうことが多いんです。ですから、患者さんとの関係づくりに仕事のやり甲斐を感じている人は、派遣は向いていないかもしれません。

そっか。たしかに半年だと、やっと常連さんのことをわかり始めるくらいですよね。人によっては、やるせなさが残りそう。

でも、それってそんなに大事なことなんですか?

ええ。なぜかというと、日本政府はいま「患者さんに服薬指導をして不安を和らげたり、的確なアドバイスをしたりできる薬剤師」を増やそうという取り組みに力を入れているからです。

だから、短期間で職場から居なくなってしまう派遣薬剤師というのは、国の動きと逆行している存在なんですよ。仮に将来、いまよりももっと高度な服薬指導をするのが当たり前の時代が到来したら、まわりの薬剤師に遅れをとる可能性があります。

なるほど。もっともな話ですね……。


3.派遣切りって実際、あるの?保険や、福利厚生は?

派遣っていうと、やっぱり気になるのは「派遣切り」です。

薬剤師さんの中には、「派遣ってちょっと興味あるけど、いきなり次の更新はありません、って言われて収入が途絶えたりしないか心配……」みたいな人も居るんじゃないかと思うんです。そのあたり実際、どうなんですか?

そうですね、相談に来られる方もほとんどの方が派遣切りを木にされていますが、結論から言うと薬剤師でも「派遣切り」は有るには有りますが、他の業界よりは少ないと言えます。

なるほど。薬剤師の派遣切りが少ない理由は、やっぱり人手不足だからですか?

はい。今でも正社員が足りておらず、派遣に頼っている状態だからです。ただ裏を返せば、薬局が別枠で正社員を確保できたら、派遣は契約を更新されない可能性もあるということになります。

やっぱりそうですよね……。

実際、高いコストがかかる派遣を切って、正社員やパートを入れたいと考えている企業は多いんです。企業は、いずれ来ると言われている「診療報酬の引き下げ」を心配しているんですよ。

それに人事担当者の中には、「派遣は会社にとってなるべく居ない方がいい存在だ」と言っている人もいるくらいですから。

うわぁ……そんな風に思われながら働くなんて、すごく嫌です……。

ま、ただですね、だからと言って「派遣は止めといたほうが良いのか」って言ったら別にそういう訳じゃないですからね。

例えば、もし仮に派遣切りにあうとしても、その職場での働きぶりが高く評価されていれば、その前に「正社員として直接雇用したい」というオーダーが来ることもあるんですよ。

派遣だからといって露頭に迷うことはない!

へー! それは有難いですね。

ケースとしては10人中1人か2人くらいですけどね。その薬剤師さんが優秀な人だった場合の話なので。

あとは直接雇用のオーダーがなかったとしても、今ならよっぽどのことがない限り、別の職場で正社員またはパートで雇って貰える機会はあるはずです。言っても薬剤師ですからね、今はまだ大丈夫なんですよ。

ということは、「派遣切り」にあったとしても路頭に迷うことはない……と考えていいんですかね?

基本的にはそうです。

良かった……でも、うかうかして居られないですね。


あと、もう一つ疑問に思っているのが、派遣の福利厚生です。やっぱり、正社員と同等の制度とかは受けられないんでしょうか?

いえ、そんなこと無いですよ。派遣スタッフは「労働基準法」と「派遣法」で守られていますから、福利厚生は正社員と変わりません。産休や育休もきっちり取れますよ。

ただ、週に30時間は勤務しないと社会保険に加入できないケースが多いので、そこは注意してくださいね。


4.派遣は、ちゃんと「派遣をやってる紹介会社」を選べ

ありがとうございました。あとはもう、紹介会社に登録するだけでバッチリですかね?

ちょっとまってください。派遣っていうのは、紹介会社によって取り扱っているところと、そうでないところがあるんですよ。だから、派遣を取り扱ってない紹介会社に登録しても無意味ですよ。

えっ、そうなんですか?! それは、言われないと分からないですよ……。

例えば、こちらの記事でオススメとして紹介しているリクナビ薬剤師や、マイナビ薬剤師は、派遣をそもそも取り扱っていませんし。

じゃあ、どこがオススメなんですか?

選択肢はいくつかありますが、まず私がいつもおすすめしているのは、冒頭でも出てきた「ファルマスタッフ(会社名はメディカルリソース)」ですね。

メディカルリソースの薬剤師派遣サービスサイト

ファルマスタッフは日本調剤グループがやっている紹介会社なんですが、ここは薬剤師の派遣においては求人取り扱い数、拠点数、ともに業界最多です。なので、派遣をやりたい場合はこの会社が選択肢に入らないことはまずありません。

へー、そうなんですね。ちなみに、ファルマスタッフの「拠点数」が業界最多っていうのは、なにか良いことでもあるんですか?

というかその前に「拠点」って何でしたっけ……?

拠点というのは、薬剤師さんが相談に来たときに応対できるようにしてある場所のことです。

ファルマスタッフは会社のポリシーとして、電話ではなく、かならず対面で求職者の相談を聞くというのを決めているんです。拠点数を多くしているのはそのためで、要は地方の薬剤師さんでも対面のコンサルティングが受けやすい環境づくりに力を入れているということです。

なるほど。多少は安心かもしれないですね。

まあ、薬剤師さんによっては「対面は嫌」っていう人も居ますけどね。初めて派遣をやりますって方は、対面のほうが安心できるでしょうから、ファルマスタッフは特にオススメできると思いますよ。

あとそれ以外の紹介会社で挙げるとしたら、ファルマスタッフよりは規模的には劣るが、ファルマスタッフに無い特徴を持っている派遣会社ですかね……。

具体的にはどこですか?

まず、クラシスの「ヤクジョブ」ですね。ここは、ファルマスタッフの次くらいに規模が大きい薬剤師の派遣会社です。この会社の特徴は、派遣薬剤師むけの福利厚生がめちゃくちゃ充実しているっていうことですね。

クラシスのヤクジョブ

たとえば、「クラシス・クラブオフ」っていう、レストランとかエステとかを割引価格で利用できるサービスとか、あと「Kポイント」っていうポイントシステムとかをやってるみたいですね。

なるほど……ただ、それを理由に派遣会社を選ぶっていうのもアレな感じしますけど……。

いやいや、この手のサービスって、準備したり運用したりするのけっこう大変なんですよ。派遣会社としても良い会社だと思いますし、ファルマスタッフと一緒に検討する会社としてはちょうどいいと思いますけどね。

たしかに、どちらでもいいならポイントが付く方にしよう、っていう人も居る気がしますね。笑

それとあと1つオススメなのが、「メディカル・プラネット」です。

メディカル・プラネット

あれ? ここって、以前インタビュー記事で取り上げられていた会社じゃないですか?

そうです。薬剤師の派遣事業としては規模が小さい会社ですが、ここの派遣サービスは面白くて、じつは派遣登録できる薬剤師さんのハードルが他社よりもちょっと高いんですよ。

えっ、じゃあスキルが低いと登録できないかも知れないってことですか?!

そうです。なぜそんなことをしているかというと、スキルの高い薬剤師さんだけを集めると、派遣先からの評判が良くなりますよね。そうすると、薬剤師さんの条件の交渉がしやすくなるからなんです。

だから、専門的なスキルを持っている薬剤師さんとか、経験豊富な薬剤師さんが派遣をやりたい!っていう場合は、メディカル・プラネットの派遣サービスが特にマッチするんですよね。

へ〜なるほど、小さい会社だとそういうことができるんですね。派遣だけどプライド持ってしっかり働きたい!っていう方も、いますもんね、多分。


まとめ

  • 派遣は、ウワサ通り高収入だし、時間の融通もめちゃくちゃ利く
  • 派遣は、3ヶ月とかで勤務地をあっちこっち変えさせられる
  • 派遣は、患者さんとの関係を重視したい人は向いてない
  • 派遣だからといって路頭に迷う可能性は少ないが、油断は禁物

ありがとうございました。振り返ってみると、薬剤師の派遣ってやっぱり恵まれてる感じがしますね。

そうですね。ホントに今がチャンスだと思いますよ、薬剤師さんが派遣やるなら。診療報酬がガクっと下がったら、今みたいな良い条件で働くことはできなくなるはずですから。

ですよね……時給9,000円とか、常識的に考えておかしいですからね……。

まあ派遣とか正社員とか関係なく、スキルの研鑽を怠ったら将来的に食っていけなくなるのは変わらないですからね。そこは忘れたらダメですよ。

分かりました。ありがとうございました!

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