薬剤師が地方の薬局で働くのって、どうなの?転職のプロに聞いてみた!

公開:15/02/11 更新:17/10/20

薬剤師が地方の薬局で働くのって、どうなの?転職のプロに聞いてみた!

こんにちは!薬剤師のみどりです。

「薬剤師の地方の求人はすごい。」あなたも一度はそんなような話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

事実、転職サイトで地方の求人を検索してみると、東京などの都市部では考えられないような高待遇の案件がゴロゴロ転がっているんです。当然、気になりますよね。

でも地方に転職って、周りでもしたことがある人が滅多にいないし、あまり情報も出回っていないので、よくわからないことが多いですよね。仕事は激務なんじゃないか?とか、生活していけるのか?とか、不安もいっぱいあります。実際のところどうなんでしょうか?

今回、薬剤師として地方で仕事をするメリットとデメリットについて、薬剤師の転職支援実績400人を超える、キャリアコンサルタントのドラおじさんにお話を伺いました。

もくじ

登場人物紹介

ドラおじさん

薬剤師専門の大手人材紹介会社から独立した、キャリアコンサルタント。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。
より詳しい情報はこちら

みどり

都内の製薬会社でDI・学術担当として従事する、現役の薬剤師。転職経験は1度だけアリ。全国の若手薬剤師を代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!

今日のテーマは「薬剤師が地方の薬局に転職するメリット・デメリット」ということで、ドラおじさんの過去の転職支援経験をもとにお話をしていただければと思います。

はい。よろしくお願いします。

1.地方求人の年収は基本、600万円以上の高収入

まずは分かりやすいところで、収入や勤務条件などについて伺おうと思いますが、これはやっぱり良いんでしょうか?すごく年収が高いというような話はよく聞きますが。

はい。これはもうほんとその通りで、地方にはめちゃくちゃ好待遇な求人がたくさん存在します。

下の表を見て下さい。これは、転職サイトのマイナビ薬剤師で、人口が多い都道府県TOP3と、少ない都道府県TOP3の、「全求人案件に占める年収600万円以上の薬剤師求人の割合」をまとめたものです。見ての通り、都市圏では600万円以上の高年収案件は15%程度なのに対し、僻地では35%程度が600万円以上となっています。

田舎は都会よりも高年収求人の割合が多い

なるほど。わたしも、転職するときに「年収が高い」といったような軸で検索をかけたことは何度かあるんですが、たしかに地方の求人が多かった印象があります。

もう少し具体的に見ていくと、例えば下記はまたマイナビ薬剤師が出している求人なんですが、これなんかは地方の薬剤師求人の代表的なものと言えると思います。

マイナビ薬剤師の代表的な地方求人の例

まず、年収は基本600万円以上ですね。で、住宅借り上げがついたりとか、プラスアルファでなにかが付くっていうのがよくあるパターンです。もう月6万くらいの家だったら会社が借りるからどうぞ、とか。引越し費用ももちろん出ますし、ヘタしたら冷蔵庫とかの家電の費用とか、車の購入費用も出ます。

すごいですね。車代まで出るケースがあるというのは驚きです。

そうですね。地方だと基本的に移動手段が車になるんで、もともと車を持っていない薬剤師さんだと「新しく車買わないといけないのかー、面倒くさいなあ……」となって転職を思いとどまってしまう人がいるんですね。なので、そういう人のために車の購入代を出してくれちゃう求人もあるんです。

だからホントに至れり尽くせり、とにかく来てくれたらOK!ッて感じですね。

地方(へき地)の薬剤師求人は「超」好待遇

ちなみに、私が見たことがあるので一番すごかった求人が、鹿児島で900万、家込みで900万ですね。実質年収でいうと830〜840万くらい。

それって何かヘンな仕事とかさせられるんじゃないんですか?

いやいや、違います(笑)普通の薬局の、普通の薬剤師求人ですよ。

でも、どうしてそんなバブリーな状況になっているんですか? そこまでして薬剤師を採りたがる理由って、何なんでしょうか?

理由は一つで、地方求人はとにかく人気がない。僻地だとやっぱ行きたがる人が少ないんですよ。東京よりも圧倒的に薬剤師が集まりにくい。で、薬剤師が採用できないと処方箋がさばけなくなって店たたむしか無くなっちゃうんで、何が何でも採用したいんですよね。

地方の求人全体がそのような傾向があるということでしょうか?

いやそうじゃなくて、山奥などの僻地にある薬局だとそのような傾向にあるということですね。なので、たとえば地方でも都市部だと別に年収は高くならないですし、東京でも西の奥の方にある薬局では同様に高年収案件になりやすいです。

なるほど。では、このような求人はどのような人にオススメ、というのはありますか?やはり、お金がほしい人、でしょうか。

そうですね、お金がほしい人、特にお金がないのでどうしても必要という人には、地方で働くのはオススメですね。たとえば、奨学金のローンとか、住宅ローンの支払いを早めに済ませたい人。こういう人にはうってつけだと思います。ほんと、奨学金だと3、4年働けばチャラになったりしますから。

あと僕が事例としてみたことがあるのは、子供に私立の医科大学とか薬科大学とか、いい大学に行かせたくてそのための教育費を貯めたい人。あとたまにいるのはギャンブルで借金を作っちゃった人。あと、離婚で慰謝料を払わないといけない人とかですかね。

そんな人いるんですか!けっこう強めの動機のケースが多いんですね……。

お金だけが動機の場合はそうですね。やはり生活は不便になるので「なんとなくお金欲しいなあ」ってだけの人だと結局耐えられなくてすぐ辞めちゃうんですよ。なので、そういう軽い感じの人には僕もあまりおすすめしてないです。

2.仕事の忙しさは……実は言うほど忙しくはない

次は地方の薬局での仕事内容について伺おうと思いますが、いかがですか? これはやっぱり、「高い年収を貰うからには、けっこう大変なんじゃないか……」というイメージがあるんですが。

いえ、実はそんなことは無くて、薬剤師って1日にさばける処方箋枚数が40枚までって決まってるじゃないですか。だから、それを超えることはまず無いですし、だいたい1日の処方箋枚数は30〜40枚と考えておけば良いです。ただ、さすがに「楽で暇」ってことはないですけどね。処方箋20枚台ってことはあんまりないと思います。

じゃあ一概に、年収が高いから仕事も大変です、ってわけではないんですね。

ないです。「みんなが行きたがらないところに行ってくれてありがとう手当」って僕はよく言ってます。新卒の学生さんはだいたいこれで納得しますね。要するに地域手当みたいなものなんですよ。

では、仕事の量的なところではなく質的なところで、地方と都市部でなにか違いはありますか?

ひとつ違いとして挙げられるのは、患者さんとの関わり度合いはやっぱり都心部よりも地方のほうが深い、ということですね。

いま、地域医療って地方でかなり盛り上がっていて、沖縄とか離島の求人とか、北海道の札幌以外のところだと患者さんにめちゃくちゃ感謝されるんですよ。離島とかになると薬剤師、みんな来たがらないんで。「来てくれてありがとう、先生ありがとう……」って言われるんですよ。

なるほど。それはすごくやりがいがありそうですね。

そうです。患者さんから、「先生が来てくれてから薬局にすごく通いやすくなりました」とか、「先生のお陰で薬が飲めるようになりました」とか言われるんです。僻地なんで、そこしか頼るとこないんですよ、みなさん。

地方の薬局は患者さんと深く関われる

あと、在宅のニーズも地方のほうが高いです。理由は、公共交通機関が発達してないから。そうすると、車の運転ができないおばあちゃんが病院通うのとかって無理なんですよ。

確かに、地方のほうが在宅をやっているイメージはありますね。

僕が事例として見たことがあるのが、僻地の在宅医療でもう10年以上やっている薬剤師さんがいて、一人で住んでる80歳くらいのおばあちゃんの患者さんの在宅をやっているんですが、その薬剤師さんは、もう患者さんの家の鍵、預けられてますからね(笑)で、私が死んだら看取ってって言われてるらしいです。

すごい(笑)もはや家族みたいな感じですね。

そうです。2日に1回、3日に1回とかのペースでおばあちゃんの家に通ってあげて、話し相手になってあげて。これ、本当に良いことだと思うんですよ。地域に貢献してるし。「薬剤師冥利につきる」って言ってましたね、その薬剤師さんは。

そうすると例えば、東京でのサバサバしたコミュニケーションに疲れちゃって、都会だと仕事にやりがいも感じられないから、地方で患者さんとの温かい交流をしながら働きたい、というような人にはオススメできそうですね。

そうですね。東京で鬱になっちゃって、自然緑豊かな長野とかにいって、在宅はじめて元気になっちゃった人とか実際に居ますからね。

たとえば東京でも、やっぱり六本木とか、港区らへん、大田区らへんは、患者さんがせかせかしてるひとが多いので、「患者さんとしっかり話せなくてつらい」っていう薬剤師さんが多いですね。ビジネスマンが多いんで。

なるほど、確かにそういうのはありそうですね。若い患者さんって、基本的に「薬くれればいいから早く出して」みたいな感じで、薬剤師になにか交流とかを期待してるかって言うと、してない人がほとんどですもんね。

そうですね。なので患者さんとのコミュニケーションがもっと欲しい人とか、あと在宅をやってみたい人なんかは地方の薬局はおすすめできますね。

3.プライベートは、生活に慣れるのが超大変

では今度は、地方ではたらく薬剤師の仕事以外、普段の生活とかプライベートの部分について伺いたいんですが、ざっくり言うとどんなかんじでしょうか?

これは一言でいうと大変ですね、まあこれは薬剤師に限った話じゃないと思いますけど、地方に転職する場合に一番ネックになるのがこの「生活が大変」という部分です。もうこれさえなければ、どう考えても地方で働くのがいいと思うんですが。

具体的に何が大変なんですか?

まず人間関係はゼロからスタートになりますから、その関係構築が大変です。休日に会って遊んだり飲んだりする友だちもいないですし、基本、頼る人が居ません。なので、新しい環境で人間関係を作るのがそんなに苦じゃない人だったらいいんですが、前回の記事でも言ったとおり薬剤師ってコミュ力が低いんで、まあだいたい苦労しますよね。

なるほど(笑)

あとは生活面で、買い物する場所が近くに無かったり、そもそも少なかったりするので、そこも不便ですね。加えて基本、車が要りますし。最寄りのコンビニまで車で20分、みたいな。あと、気軽に飲んだり遊んだりする場所もほぼ無いですし。

確かに、私も出張で何度か地方には行ったことがありますけど、駅前とかなんかもう、何も無いですもんね。あれだと、休日は家でゴロゴロするくらいしかなさそうですよね。

通勤ルートにスーパーとかコンビニとかあれば、まだ楽なんですけどね。

この問題に関しては、なにか手の打ちようはあるんでしょうか?

私がいつもおすすめしているのは、地方と言っても、少しはゆかりのある地を選んでもらうことです。

一番ケースとして多いのは、そもそも実家とか、親戚の家の近くに転職するケース。これなら全く身寄りがないってこともないですし、安心ですよね。あるいは、実家に入るのはちょっと嫌だって場合には、実家から車で1時間以内の場所、とか。これなら週末は実家に帰ってもいいし、地元の友だちにも会えるし、都合がいいですよね。

なるほど。私の場合だと、両親のうまれが長野と宮城なんですけど、そこは若干、他の田舎よりも親近感がありますね。特に、出張で仙台に行く事が多かったんで、もし私が選ぶなら宮城ですかね。

あとは、大学時代に住んだことがあるとか、旅行で一度行ってみていいと思った、とかもいいと思います。

その線で言うと、学生時代に仲が良かった友だちがいる田舎、とかもいいですよね。

そうですね。そういう感じで、やっぱり全く知らないとこに転職するのは抵抗がある人が多いので、そういう、少しは過去につながりがある場所を転職先としておすすめするようにしています。

なるほどね〜、確かにそれなら多少、やっていけるイメージがあります。

ただこれには1つ例外があって、何かというと、転職理由が趣味になってるケース。これは一人になってしまうとかもあまり気にしないと思います。例えば、釣りがしたいから山形の田舎の薬局を紹介してほしい、とか。

えっ、そんな人居るんですか!?

居ます居ます。だいたい、月に2人くらいは居ますね。その人は、山形の庄内エリアで、川釣りがすごく楽しくできるエリアだから、山形に行きたい。で庄内だったらどこでもいい、ってことで相談に来て。で最終的に、庄内エリアで、高年収で、ちゃんと土日休みが取れる薬局に転職が決まりましたね。

あと僕が見たことがあるのは、サーフィンが好きだから湘南エリアが良い、とか、天体観測仲間がいるから稚内に行きたい、とか、あと温泉が好きだから湯布院に行きたいとか、ダイビングがしたいから沖縄に転職したい、とか。

地方ならではの趣味がある人は、プライベートも天国!

いいですね〜〜〜〜!!うらやましいです……。

そうですね。釣りの人は今でもたまに写真が送られてくるんですけど、まあ〜〜〜楽しそうですよね(笑)趣味が充実していて、仕事では感謝されて、収入も高くて。ほんと幸せだろうなと思います。

4.地方に転職したいとき、紹介会社は何してくれるの?

これまでお話を伺ってみて、地方に転職することの魅力が良く分かったんですが、いざ転職することを想像してみると、やはり生活面ですごく不安があるだろうなと思いました。

そうですね、地方に転職しようとしている人のほとんどが不安に感じるのがそこなので。行ったことがないエリアなんで、どんな生活ができるのかわかりません。この土地ってどうなの?っていう。

この不安に対しては、普段のお仕事の中では、どういう形で解消されてるんですか?

これは簡単で、「あ、これだったら地方でも生活できそうだな」っていう事実をたくさんぶつけて不安解消します。例えば、店舗の30分圏内にスーパーがあります、最寄り駅はどこどこ駅で中央駅まで何分です、とか、本数が1時間に何本くらい出てて、とか。

あと家賃相場とか、その地域の有名なご飯とか、あとイベント、アクティビティとかを教えてあげて、不安解消していきます。で、一緒にそこの都市のホームページを一緒に見てあげて、っていう感じですね。

なるほど、その辺のことを調べてあげて、伝えてあげるってことですね。

はい。あとは実際行ってみてよ、って話で、何なら店舗面接にしますよ、交通費会社に出させて店舗で面接してもらいますよ、という形で対応することもあります。

なるほど。それは安心ですね。行ってみないとわからないこともありますもんね。

そうですね。そのほうが早いんで。あと、行ったら気にいるんで、大体。緑豊かで自然豊かな非日常で、薬局も雰囲気なんとなく良くて患者さんも良い感じで、年収が100万200万上がるっていうとまあ転職しちゃうんで、みんな。笑

まとめ

薬剤師が僻地で働くのって大体こんな感じ

  • 年収は、基本600万円以上
  • 仕事は、患者さんとの対話が多い
  • 人間関係はゼロからなので大変
  • 趣味が理由で転職する人には、地方は天国
  • 転職サポートは転居に伴う不安払拭が中心

今日の内容は以上です。いかがでしたか?

結構知らないことがあって驚いたんですが、いちばん良いなーと思ったのは、地方だと患者さんとの温かい交流がある、というくだりですね、あれはグッときました。

薬剤師って、患者さんとちゃんとコミュニケーション取らなきゃって基本思ってるんですけど、それでもなかなかできないっていうので、悩んでいる人は割と多い気がするんですよね。そういう人には、地方で働くっていうのは結構いいのかなと思いました。

あと、趣味が理由で転職するっていうのは、そんな人いるのか!と思ってちょっとびっくりしたんですけど……。

でもこれって薬剤師の資格を持ってるからできることなんですよね。そう考えると、せっかくだしそういうキャリアもありかなと少し思えましたね。

そうですね。いまのところ薬剤師は売り手市場と言われていますけど、数年後にはもう地方でも今のような好待遇は期待できないかもしれないんですよね。なので、興味がある人はぜひ地方にどんどん出て行ってみてほしいなと個人的には思います。

分かりました。ありがとうございました!


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ドラおじさん

大手人材紹介会社にて、薬剤師専門のキャリアコンサルタントとして約20年間従事し、その後独立。過去400名以上の薬剤師さんに対して転職支援をおこなった実績を持つ。

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