ドラおじコラム
薬剤師が紹介会社を上手に活用するにはどうすればいいの? 転職のプロに聞いてみた!
こんにちは!薬剤師のみどりです。
さて、あなたはいわゆる「紹介会社」のことをどのくらいご存知でしょうか? 紹介会社とは、あなたが転職したいと思ったときに希望に沿った求人情報を紹介してくれたり、今後のキャリアの相談に乗ってくれたりするサービスを “無料” で提供してくれる会社のことです。
薬剤師向けの紹介会社は、転職を経験したことがある薬剤師さんなら一度は使ったことがあると思います。しかし、「どうすれば紹介会社の実力を最大限に引き出すことができるか?」というのは、実は薬剤師さんの間でもあまり知られていないんですね。これを知っていれば、今後あなたがおこなう転職活動はもっと有意義なものになるはずです。
今回は、薬剤師転職のプロ「ドラおじさん」に、紹介会社の赤裸々な内情も含めて詳しくお話を伺ってみました!
登場人物紹介
- ドラおじさん
- 薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザー。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら)
- みどり
- 当サイトのナビゲーターで、都内の製薬会社でDI・学術担当として従事している設定の薬剤師。中の人は薬剤師が監修してます。全国の悩める薬剤師たちを代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!
ということで、今回のテーマは「薬剤師が紹介会社をうまいこと使う方法」というテーマですが、大丈夫でしょうか?
そうですね……相談に来られた薬剤師さんが「こういう風に動いてくれると転職がうまくいきやすい」というのはあるので、その辺りをお話しすることになると思います。
私は1回転職したことがあるのでなんとなくイメージが付くんですが、一度も転職したことがない人だと「紹介会社ってそもそも何をしてくれるところなのかよく分からない」という人もけっこう居ると思っていて、そのあたりを教えていただけると嬉しいです。
分かりました。
1.紹介会社は複数の会社に同時に登録しよう
まず一番重要なのは、「転職するときには複数の紹介会社で同時に登録したほうが良い」ということですね。少なくとも3社、できれば5社は同時に登録して使ったほうが良いです。
どうしてですか? 1社や2社ではダメだということですよね。5社も登録するの、かなり面倒だと思うんですけど……。
理由は簡単で、紹介会社を使った転職というのは、キャリアコンサルタントとの相性がめちゃくちゃ重要だからです。
これ、現場では絶対に言わないんですけど、紹介会社のサービスの質っていうのは「誰が担当になるか」によって決定的に変わってしまうんですね。
例えばちょっとイメージして欲しいんですが、みどりさんの転職を手伝う担当のコンサルタントが実は新卒1年目のペーペーで、しかも自分と全然性格が合わない奴だったらどう思いますか? 転職っていう、人生の節目でですよ。めちゃくちゃ嫌じゃないですか?
えっと、最悪ですね(笑)
ですよね。でも、これはどの紹介会社を選んだとしても起こりうることなんですよ。仕方がないんです、仕組み的に。
そこで、複数の紹介会社に同時に登録をして、各社のコンサルタントのレベルとか、性格などを比較できるようにしておけば、そういうダメなコンサルタントを相手にしないで済むようになるんです。
そうなんですね……そういえばたしかに以前、私が転職しようとしたときに一番はじめに登録した紹介会社の担当者は、かなりひどかったですね。
私が「学術の仕事が良い」って言ってるのに、そうじゃない治験の案件とかをめちゃくちゃプッシュしてくるんですよ! で、ムカついたのでその紹介会社は切りました。
それはよくあるパターンですね。たとえば、そういうケースでコンサルタントにうまく言いくるめられちゃう薬剤師さんも多いんですよ。不幸ですよね。
なるほど……怖い話ですね……。
ちなみに、担当のコンサルタントと相性が良いかどうかというのは、どうやって判断すればいいんですか?
それは、「恥ずかしい本音を言えるかどうか」で判断できると思います。
例を挙げると、「借金の返済のため」とか「離婚の慰謝料の支払いのため」みたいな、ヤバめな理由で転職する人がたまに居るんですよ。こういう事情って、知り合ったばかりの人には普通は言えないと思いませんか?
そうですね。相当仲良くならないと言えないと思います。
要は、こういう恥ずかしいことでも気軽に話せるコンサルタントに巡りあうのが大事ということなんです。
いやーでも、そういう「慰謝料が……」みたいな恥ずかしい話って、できれば隠しておきたいじゃないですか。どうしても言わないとダメなんですか?
はい。言ったほうが、紹介される求人の質は高くなります。なぜかというと、どの紹介会社でも「こういう場合はこういう求人を紹介したほうが良い」というケーススタディを社内で共有しているからです。「慰謝料の支払いのため」というのも例外ではありません。
へえー……そうなんですね。初めて知りました。
それに本音をさらけ出してくれる人のほうが、そうでない人よりも「なんとかしてあげたい……!」って思いやすいですからね。
確かに。コンサルタントさんも人間ですもんね。
ちなみにみどりさんが転職したときは、紹介会社は何社登録したんですか?
私はとりあえず目につく紹介会社を片っ端から登録した感じなんで、正直いくつ登録したとか覚えてないんですけど(笑)少なくとも5社は超えていると思います……。
私ははじめに、とりあえず全ての紹介会社のコンサルタントとひと通り電話で話して、いくつか求人を紹介してもらいました。で、1回求人を紹介してもらうところまでやると、どのコンサルタントが優秀か? とか、自分のことをちゃんと分かってくれているか? とかが大体分かるんですよ。
なのでそこからは、イケてないコンサルタントとのやり取りはやめて、良いコンサルタントとだけ深いやり取りをして進めましたね。
ただやっぱり、一番はじめは大変でした。5人とか6人とかのコンサルタントに全く同じことを話さないといけなかったので。
なるほど……。みどりさんの言う通り、登録数が5社を超えるとさすがにやり取りが大変になってしまいます。なのでやはり、3〜5社に絞って登録するのが一番バランスがいいと思いますね。
2.なぜ、その条件が欲しいか?「理由」を伝えるのが大事
「紹介会社のうまい使い方」2つ目は、その条件を希望する「理由」をしっかりと素直にアドバイザーに打ち明ける、です。
それって、たとえば年収600万円欲しいみたいな人が「なんで年収600万円欲しいのか?」みたいな話ですか?
そうです。相談にくる薬剤師さんってだいたい、はじめのうちは自分が将来どういう仕事がしたいのか、どういう求人が欲しいのか、なぜそれが欲しいのか、など細かいところまでは遠慮して言わないんですよね。これ、良くないです。
実は、相談のときに細かく色々と注文をつけている人のほうが、そうでなかった人よりも、転職したあとの離職率が低いんですよ。
えーそうなんですか! じゃあ、あれこれ細かく注文つけた方が絶対に良いじゃないですか。でも、どうしてそうなるんですか?
理由は2つあります。1つは、細かく注文をつけている人のほうが、そうでない人よりも納得感を持って転職先を選べるから。もう1つは、細かく注文をつけている人は「その条件が欲しい理由」をきちんと話しているケースが多いからです。
これは実例を出したほうが分かりやすいですかね。例えば、みどりさんが「年収800万円が欲しい薬剤師」で、あるとき紹介会社に相談に行ったとします。このときに、なんで年収800万円なのか?を伝えるのと、伝えないのとでは、紹介する案件が全く違ってくるんですよ。
そうなんですか? ちょっとイメージつかないんですけど。
たとえば「家計がのっぴきならない状態だから今すぐお金が必要で、年収800万円くらい貰える水準じゃないとまずい」っていう理由だったとするじゃないですか。
この場合は、もう誰も行きたがらない僻地の薬局とかに行くしかないですよね。でも、もし「周りが800万円くらいもらってるから、自分もなんとなくそれくらい欲しい」みたいな理由だったら?
え、なんか変わるんですか?
はい。この場合はたとえば、3年後に年収800万円になっていることを見据えて、まずは年収650万円くらいの、働き方とか中身がもっとまともな求人を紹介できたりするんです。
ほ〜なるほど。今すぐ欲しいのか、もうちょっと先でもいいのかによっても、紹介する案件が変わってくるってことですね。
そう。年収750万とか800万とかって、エリアマネージャーで2年くらい活躍すれば届く水準なんですよ。なので、それで良くない?っていう。
で、転職相談のときにこの「800万円欲しい理由」をちゃんと伝えないと、要はこの事例でいうところの後者でOKな人が、安易に僻地の求人ばかり紹介されて「田舎で800万、いいじゃん!」とかってなって、結果ミスマッチだったみたいなことが起こり得るって話です。
たしかに、その手の失敗はありそうな気がする……。
でも実際、転職をしたい本当の理由って、正直くだらない理由だったりしますもんね。例えば、今の上司が嫌いでもう話したくない、とか(笑)
そういう本音って、言ってドン引きされても嫌ですし、やっぱり言える雰囲気を作ってくれないと言いづらいのは分かる気がしますね。
そうですね。だから、こういうのはヒアリングの最後の方にならないと出てこないんですよ。キャリアアドバイザーもその辺はちゃんと分かってるので、遠慮せずに初めからいきなりズバッと本音を言っちゃったほうが楽だし、得だと思いますよ。
あるいは、アドバイザーの実力を試す目的で、はじめはあえて理由を言わずに取っておくっていうのもアリですね。
なんでわざわざそんなことするんです?
きちんとしたアドバイザーであれば、たとえば年収800万円欲しいってだけ伝えても、必ず「なんで800万なんですか?」とかってちゃんと聞いてくるからです。
ここで理由を聞いてこないで、案件の紹介しかしないアドバイザーはダメアドバイザーだと判断できますから、切ってしまってOKです。
なるほど……悪いですね……。笑
3.やめておいたほうが良い、紹介会社のNGな使い方
これまでは、紹介会社はこう使うと良いですよというお話を伺ってきましたが、今度は逆に「こういう使い方はやめたほうが良い」というのはありますか?
はい。基本はこれまでお話した内容の裏返しになるんですが、まずは紹介会社を1社しか使わなかったり、コンサルタントに本音を全く話さなかったりするのは、転職が失敗しやすい使い方と言えます。
あと時々いるのが、コンサルタントと全くコミュニケーションを取ろうとしないで、とりあえずメールでおすすめの求人情報だけ貰えばいいやー、みたいな人。これも良くないです。
やっぱりちゃんとヒアリングができないと、ベストマッチな求人の紹介ができないですし、コンサルタントのモチベーションも下がってしまいますから。面倒臭がらずに、ちゃんとコミュニケーションは取らないとダメですね。
そうなんですね。私、どっちかというとそのタイプだったので、耳が痛いですね……。
まあ、それで転職がうまく行けば別にいいんですけどね。失敗する確率は高くなります。
あと同じ理由で、「土日にしか連絡してこないでください」みたいな感じでコンサルタントからの連絡を制限するのも良くないです。平日の夜、20分でも30分でもいいから、電話をかけても良い時間を作るように努力した方が、早くていい転職活動が出来ると思います。
コンサルタントとちゃんと話したほうがいいってことなんですね……。
あと1点気になっていることがあって、例えば賃貸の不動産屋さんとかだと、引越し先を探し始めてから半年くらい待ってようやくいいのが見つかる、とかってあるじゃないですか。
だから転職も同じで、紹介会社に登録してからすぐには転職しないで、良い求人が出るまで半年くらい待ちつづける、みたいな使い方もアリじゃないかなと思っているんですけど、これってどう思いますか? やっぱり怒られますか?
まあ、別に問題はないです。ただ紹介会社としては早く転職させたいので、当然嫌がられますけどね。
やっぱりそうですよね(笑)
あと個人的には、薬剤師求人の場合、長く待ったところでそこまで良い条件の求人が出てくる印象は無いです。なので、出てくるかどうかも分からない好条件の求人を待つために、嫌な職場に何ヶ月も居座り続けるくらいだったら、さっさと転職しちゃったほうが良いと僕は思いますけどね。
4.紹介会社って色々あるけど、どういう違いがあるの?
あのー、紹介会社をうまく活用するコツはだいたい分かったんですけど、でも、紹介会社ってきっと沢山ありますよね。で、その中から、3〜5社を選ぼうって話なんですよね。
そうですね、小さいのも含めると全国に1万社以上あると言われています。
えっ、そんなにあるんですか?!
あ、大丈夫ですよ。1万社と言っても、薬剤師専門でやってるところはそう多くないですし、それに加えていくつかのポイントを押さえれば、3〜5社を選ぶのはそう難しくないですから。
詳細は「転職サイトの選び方」の記事で書いているので、読んでくださいね。
読むのが面倒なので、簡単に内容を教えてもらってもいいですか?
は、はい……。基本的にオススメなのは大手です。理由は、求人の網羅性が高いのと、トラブルになるリスクが小さい紹介会社よりも低いから。で、大手の中でもオススメなのはリクナビ、マイナビ、ファルマスタッフ。とりあえずこの3社が鉄板ですね。
リクナビとマイナビは、なんとなく聞いたことがある気がしますね。
ええ。ただ、必ずしも大手がオススメとは言えないケースが2つあります。今回は、この点についてお話しますね。
大手がオススメとは言えないケースの1つ目は、正社員でなく派遣をやりたい場合。正社員の紹介と派遣の紹介では、紹介ノウハウが全く異なるんですね。
実は、さきほどの記事でオススメしているのは主に正社員向けの紹介会社なんですが、リクナビ、マイナビ、ファルマスタッフの中で、派遣の紹介をやっているのはファルマスタッフだけなんですよ。
じゃあ、派遣をやりたい人が、リクナビとかマイナビに登録しても意味ないってことですか?
そうなんです……。
ファルマスタッフというのは、どういう会社なんですか?
ファルマスタッフは、薬剤師の派遣においては求人取り扱い数、拠点数、ともに業界最多なんです。なので、派遣をやりたい場合はこの会社が選択肢に入らないことはまずあり得ません。
正社員の紹介と派遣の紹介って、そんなに違うんですね……。
薬剤師の派遣については、こちらの記事でもう少し詳しく解説していますので、よろしければお読みください。
では、もうひとつの方もお願いできますか?
はい。大手がオススメとは言えないケースの2つ目は、「過去に転職で失敗している場合」です。
転職で失敗、というのは、紹介会社から紹介された求人先に転職したけど、うまくいかなくて辞めたい……というようなケースのことですよね。私の友だちにも何人か居ますね。
そうです。こういう、うまく転職できない人が出てきてしまう理由なんですけど、私は求職者である薬剤師さんが、キャリアコンサルタントとのやり取りを上手にできていないことが大きいと思っています。
えっ、そうなんですか? キャリアコンサルタントが悪いんじゃないんですか?
はい。もちろん、ダメなキャリアコンサルタントが悪いというのもありますけど、そういう人に会ったときにどうするか決めるのは、結局は薬剤師さんの方ですから。要はコミュ力の問題なんですよ、これは。
うーん、厳しいですね……。あの、そういう人はじゃあどうすればいいんですか?
この場合は、まずはカウンセリングに力を入れている紹介会社をおすすめしています。カウンセリングに力を入れている会社というのはだいたい、大手のサービス内容に疑問を持ってはじめられた小規模の会社であるケースが多いのです。
なるほど。だから、大手がオススメとは言えないということなんですね……あの、この場合はどの紹介会社がオススメなんですか?
いくつか候補はありますが、中でも私のオススメは「ファーマキャリア」という紹介会社ですね。ここは、もともと大手紹介会社にいたキャリアコンサルタントが大手を辞めて作った会社なんです。
ファーマキャリアをオススメする理由は、優秀なキャリアコンサルタントを少数精鋭で採用したり、コンサルタントが同時に担当する求職者数を制限したりするなど、薬剤師さんの転職失敗を念頭に置いたサービス設計がされているからです。
いま若干、こじつけ臭かったですが……でも確かに、なんとなくちゃんと話を聞いてくれそうな感じはしますね。笑
はい。こういう人はまず、良い求人を探したいとかそういうのは一旦抜きにして、ちゃんと話を聞いてくれるコンサルタントを見つけることが重要だと思いますよ。
以上になります。いかがでしたか?
ありがとうございました。私が転職活動をしたときにどうだったかなーというのを思い出しながら聞いていたんですが、けっこう紹介会社さんのイメージが、私が持っていたイメージと違って驚きました。どちらかというと、求人を紹介してもらうだけなのが普通、という感じに捉えていたので。
今回お話しした内容は、良いコンサルタントとか、良い紹介会社の場合はここまでやってくれるよという話なので、当然、もっと対応が横柄な紹介会社とかコンサルタントも居るんですよね。
なので自分の身を守るためにも、どうすれば紹介会社をうまいことコキ使えるかというのは、薬剤師さんも知っておいたほうが良いと思っています。
分かりました。ありがとうございました!
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- 最終更新日:2020年7月31日
- カテゴリー:ドラおじコラム