転職ご相談事例

中学生の娘が、薬剤師の仕事に興味を持った。親としてどんなアドバイスをすれば良い?

修司さん
40代、男性

自身のキャリアの相談ではないんですが、「薬剤師のキャリアや今後」に関することなので、ご回答いただけると嬉しいです。40代の妻と中学2年生の娘、小学生6年生の息子がいます。妻とは職場結婚で、2人して調剤薬局で働いています。

最近娘が薬剤師に興味を持ったようで、仕事のことや将来のことについて色々と話をするようになりました。薬剤師の仕事は、AIの導入など今後目まぐるしい変化が訪れることが予測されていますよね。仕事の大変さややりがいなどのアドバイスはできるのですが、社会的な問題を踏まえて考えた時に、どう伝えていけば良いのか悩んでいます。娘が就職する10年後・20年後の薬剤師のあり方をしっかりと考え、娘の将来にとって良いアドバイスがしたいのです。

妻は「未来予測は外れることもあるし、頑張りたい気持ちを応援してあげたい」といっています。しかし、無責任に頑張れと応援して、結果的に娘が薬剤師資格を取得したにもかかわらずご飯を食べていけなくなってしまったら…。それはアドバイスをした親の責任でもあると思うのです。

薬剤師は素晴らしい仕事です。けれども、どんな仕事にも良い面・悪い面がありますし、10年後・20年後には残っていない仕事もありますよね。ドラおじさんだったら、どんなアドバイスをおくりますか?

ドラおじさん
薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザーで、薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(実在の人物です。ドラおじさんの詳細はこちら

ご質問ありがとうございます。

私がもし自分の子にアドバイスをするのであれば、「頑張れ!」ですね。薬剤師という仕事が今後どうなるか?ということ以前に、興味があることや好きなことじゃないと人って頑張れないと思うんですよ。

お子さんが社会に出るまで約9年、正直、何があるか分からないじゃないですか。例えば、自分の好きなようにやって、薬剤師を目指して勉強していて、薬学部に入学したけど「やっぱり違う」ってなることもあると思うんです。ただそうなってしまったとしても、薬剤師になるために自分で調べて頑張った経験って他のものに転用できるはずなので。だとしたら、興味があること・好きなものをのびのびとやらせてあげて、ダメだったとしても「良い経験だった」と言ってあげられるのが親として重要だと私は考えます。

薬剤師のキャリア支援という視点から見ると、いま中学生であれば、訪問介護ステーションに職場体験に行くなど「地域医療に実際に触れておく」ということが大事だと思います。薬局が開催している薬剤師の体験会も良いですね。薬剤師だけではなく「医療」に実際に触れておくことが非常に大事です。今後の地域医療は在宅医療が中心となり、薬剤師以外の医療従事者の方たちとの連携で在宅医療が成り立つ、ということを肌感で覚えておくのが大事だと思います。

今後の薬剤師の仕事がどうなるかという話ですが、まあご存知かとは思うのですが、診療報酬の改定と薬価改定があるので、薬局の中で処方せんを回していくだけだと、どんどん売上が落ちていくんですね。あとはもうちょっと先の話で、下手したら10年後とかのスパンの話なのですが、拠点で患者様を待つのではなく、拠点の外に出て患者様の元に行き、多職種連携ができないと、点数が貰えなくなる。極端ですがそうなる可能性も十分にあります。

なので、患者様の家にあがることができる最低限のマナーを持っている。さらに、医師・看護師・ケアマネージャーなどの地域医療にかかわっている人たちと、きちんとコミュニケーションが取れる。そういう薬剤師が求められるようになります。

テクニシャンの導入が検討されていることからも分かるように、店舗にとどまる薬剤師の人数は最小限にとどめられ、その代わり地域に出ていく薬剤師が重宝されます。国は薬局を4万店まで減らすことを決めており、薬剤師が淘汰されるのは必至です。

そのため、今後薬剤師を目指すのであれば、手先が器用だとか真面目だという方は、研究職に行ったほうが良いと思います。現場に出る医療従事者としての薬剤師になるのであれば、地域医療に出ていくつもりで。車の運転をしたりとか、電動自転車でまわったりとか。患者さんの病態によってどんな薬が必要か、指示待ちではなくて指示をするぐらいの勢いを持った薬剤師じゃないとダメだと思います。

なので、今後は病院勤務が有用になるのかもしれません。病態の変化などを知っているほうが、医師と話しやすいでしょうし。それを薬の面から支えられるのが在宅医療の薬剤師ですね。薬の効果と副作用の出方なんかを知っていて対応ができる。薬以外のことはドクターに聞いた方が早いので、薬のプロフェッショナルとしての知識を高めた方が良いです。

こんなところですかね。

ひとみ
薬剤師、ライター。オランダ在住。(詳細はこちらのページで)

親の背中を見て娘さんも薬剤師になりたいと思ってくれたのは嬉しいですね。この先、どんな仕事を目指しても同じような不安はあると思います。私にも1歳の息子がいるのでこの悩みを持つのはだいぶ先のことですが。笑 でも、「この子が大人になったとき一体どんな仕事が残っているんだろう……」ということはよく考えます。

私の友達の薬局経営者は、「子どもには薬剤師になってほしくないし自分の薬局を継がせたくもない」って話しています。なぜなら診療報酬改定で薬剤師の報酬はどんどん削られて昔のように儲かる仕事ではなくなってきているから。

それなのにかかりつけ薬局として24時間対応をとらなければならず収入は減っているのに労働時間は増えて割に合わないと。AI導入以前に薬局が儲からなくなってきているから薬剤師の収入も減っていくし子どもには薦めたくないっていう意見です。

一方で、私が住んでいるオランダの場合、医療保険のシステムが全く異なるのでオランダの薬剤師は日本のように2年に1度の診療報酬改定で薬局経営が打撃を受けることはありません。また、既に日本よりも業務の効率化・機械化が進んでいるため薬剤師がピッキングをすることはありません。オランダの薬剤師の主な仕事は、患者さんの対応・民間保険会社との交渉・健康コンサルティング(有料)です。したがって、AIに仕事を奪われるという危機感を持っている薬剤師は少ないと思います。

私の息子がもし修司さんの娘さんと同じく「薬剤師になりたい」って言ったらその夢を応援します。同時に、正直に今後の日本の薬剤師の状況を伝え、「どのようにすればご飯を食べていける薬剤師になれるか」を、説明するかなって。

これからは薬剤師の需要自体が減るので薬や医療の知識があるだけでは不十分です。薬や医療とは全く別の専門分野の知識を身につける必要があります。例えば今後も訪日観光客は増えることが予想されるので、「英語と中国語を話せる薬剤師」を目指すとか。

これからは英語だけでは強みにはならないと思います。英語に加えて、世界で最も話している人数の多い中国語が話せればコミュニケーションをとれる人の数が倍以上に膨らみます。これは強い武器になりますよね。

あるいはAIを操作する側に立てるよう「プログラミング技術を持った薬剤師」を目指すように促してみるのはどうでしょうか。薬剤師の中でプログラミングができる方は少ないでしょう。でもこれからは持っていて損はないスキルです。

また、日本の薬剤師も医療制度が大きく変わればオランダのように民間保険会社との交渉が大きな仕事の一つになるかもしれません。その場合は、交渉力を身につける必要がありますよね。

異なるスキルを併せ持つ「スキルセット」を強みとすることで、希少価値を高めることができます。

未来のことは誰にも分かりませんが、ある程度予想して準備しておくことは可能ですせっかく抱いた娘さんの夢を応援して、親は必要な情報を与えサポートしてあげたいですね。

最終更新日:2019年5月31日
カテゴリー:転職ご相談事例

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