転職ご相談事例

夫の都合でフランスに移住。海外でも薬剤師資格を活かせる仕事ってある?

みいこさん
33歳、女性

結婚して、主人の仕事の都合でフランスのパリに住むことになりました。数年でまた、日本に帰国もしくは別の国に異動になるようです。

最初は観光やお出かけを楽しめばいいやと、専業主婦でいるつもりでした。けれども、お友達も少ないですし、家事にゆっくりと時間を遣えるのは嬉しいのですが、時間を持て余してしまいます。その為「気分転換を兼ねて働きに出たい」と考えるようになりました。それにやっぱり、自分で稼いだお金ではないので、気兼ねなくお洒落やランチを楽しむ気にならないのもあります。

フランスでも薬剤師として活躍したいと思ったのですが、フランス語は日常会話レベルです。そのため、フランスで国家試験を受けるのは、現状だと正直厳しいですし、取得までかなり時間が掛かってしまいそうです。けれども、せっかく勉強して取得した資格ですし、薬剤師という仕事にやりがいを感じていたので、諦めきれずにいます。

日本の薬剤師資格をいかして、パリで働くのは厳しいでしょうか。少しでも自分で収入を得て、主人にプレゼントを贈ったり洋服を買ったりしたいのです。フルタイムではなくても構いません。ドラおじさんのご意見をお聞かせください。

ドラおじさん
薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザーで、薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら

結論から言うと難しいです。

まず、フランスは日本と薬事制度などが大きく異なります。まず日本ではドラッグストアで一般のお客さんが自由に鎮痛薬や風邪薬などの市販薬を選べますよね。インターネットでも薬が買えるくらいです。

また、みいこさんは既にご存知だと思いますが、フランスの場合は薬局で販売されている市販薬は薬剤師に頼まないとパッケージに触れることすらできません。これはフランスの薬剤師が高い地位にあることを意味しているんです。日本のような登録販売者制度もないので、みいこさんがフランスで薬事に関する仕事に就くことは正直、難しいと思います。

しかし、日本に向けてフランスの薬剤師事情や薬局の制度などを情報発信するライターの仕事に就くことは可能です。たとえば、リサーチ業務。日本の薬剤師の中には海外の医薬分業事情や薬剤師の仕事内容・法律の違いなどを知りたい方がたくさんいらっしゃいます。そのため、日本の企業の中にはそのようなコンテンツを書いたり報告書を提出したりしてほしいと依頼する会社があります。

また、フランスに住んでいるという、みいこさんのアドバンテージを利用して日本から仕事を貰うこともできるでしょう。日本のチェーン薬局の中には、莫大なコストをかけて従業員に海外研修を受けさせることを売りにしている薬局もあるくらいです。一度気になって薬剤師向けの海外研修について調べたことがあるんですが、その費用はアメリカに6泊程度の研修で50万円以上(旅費込み)。大学での講演、調剤薬局やドラッグストアの視察がメインです。

みいこさんはこのような海外研修を受けなくても、いつでも自分の足で薬局を訪れたり、フランス語での情報収集によって直接調べることが可能ですよね。実際にこのような求人依頼は私の方にも来ることがあるので、もし見つけたら応募してみてはいかがでしょうか。

ただ、リサーチの仕事は以前よりも少なくなってきています。理由は、創薬自体が儲からない商売になってきているからです。対象となる病気が難病奇病などのパイの少ない方になってきていて、かつ研究の長期化、研究費の高騰が起きています。そのため、製薬会社ではリストラがはじまっているところもあります。

せっかくなのでフランスの薬局形態や薬剤師の仕事・保険の制度などについて、色々調べてみるのはみぃこさんにとっても良い勉強になるんじゃないでしょうか。また、フランスにいるみぃこさんだからこそできる仕事でもあると思います。

このような仕事は他にもあると思うので、治験や製薬会社に強い人材紹介会社を探して登録し、相談してみるのも良いですし、求人を出している企業に直接問い合わせるのもおすすめです。「フランスのマーケットはこんなふうです」というレポートを作成して送付し、需要を探ってみるのも良いかもしれません。

ひとみひとみ
薬剤師、ライター。オランダ在住。(詳細はこちらのページで)

実は私も、みいこさんと全く同じ状況だったのでお気持ちよく分かります。私も主人の転勤でオランダに住むことになりました。それまで仕事をしていたのに、いきなり外国で専業主婦をするのは、贅沢なことですが想像以上に退屈でした。さらに自分で自由に使えるお金がないこともストレスに。

そこで「何かしたい」と思い、ネットで検索したところ隣町に国際薬剤師会があることを発見し、「ボランティアとして働かせてもらえないか」とメールしたところ「是非来てほしい」といわれました。週に3日のボランティアでしたが、日本語ができる、さらには日本の薬剤師の状況のことを知っているというだけで頼りにしてもらえました。

業務内容は日本サイドへのコンタクトや翻訳、日本の薬剤師関連のニュースを英訳、日本の大学教授へのインタビューの手配など日本語を活かしたものがメインです。また、前職でマーケティングの知識もあったのでリサーチ業務にも携わりました。国際学会にも参加させてもらい、世界中の薬剤師と交流できたことも非常に貴重な経験です。ボランティアでしたが少しだけお金も頂いていました。

その後、妊娠をきっかけにボランティアを辞めて今度は在宅でできる仕事を探したところ、日本でライターとして働けることを知りました。薬剤師のライターの需要は意外とたくさんあります。私の場合はサプリメントや美容分野、このような薬剤師の転職に関わる記事をメインに執筆させてもらっています。私には小さな息子がいますが毎月7万円程度稼いでいます。ドラおじさんの回答にあるような、リサーチ業務やコンテンツの作成の仕事などは私が応募したいくらいです。笑

みいこさんも薬剤師の知識を活かして、フランスでボランティアを探してみたり、日本でライターとして活躍してみてはいかがでしょうか。

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