ドラおじコラム

薬剤師ってみんなどんな理由で転職しているの? 転職のプロに聞いてみた

薬剤師ってみんなどんな理由で転職しているの?

こんにちは! 薬剤師のみどりです。

さて、あなたはいま「こんな理由で転職しちゃってもいいのかな?」「なんだか踏ん切りがつかない……」という感じで悩んでいませんか?

転職はそう何度もできるわけでもないので、誰しも失敗は避けたいはず。自分で決めなきゃいけないのは分かっちゃいるけれど、いざ転職すべきかどうか悩んだときに、他の人がどんな理由で転職しているのかってやっぱり気になっちゃいますよね。

当サイトを監修していただいている薬剤師転職のプロ・ドラおじさんのもとには、あなたと同じような悩みを抱えた薬剤師さんが何人も相談に来ています。

今回は、「薬剤師の転職理由別・ベストな転職方法」というテーマで、ドラおじさんの過去のお話をこってり伺ってきました!

もくじ

登場人物紹介

ドラおじさん
薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザー。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら
みどり
当サイトのナビゲーターで、都内の製薬会社でDI・学術担当として従事している設定の薬剤師。中の人は薬剤師が監修してます。全国の悩める薬剤師たちを代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!

今回は「薬剤師の転職理由と、理由ごとのベストな転職先はどこか?」というお話です。転職しようと思ったときに、どんなところを選べばいいのかわからないっていう方はけっこういらっしゃると思うんですよ。

そうですね。どんなところを選ぶかよりも先に考えなければならないのは「なぜ転職したいのか」という理由と、そこからどうなりたいのかという展望です。

今回は色々なケースをご紹介します。薬剤師さんが、今の職場で抱えている問題を解決できるようなお話ができればと思います。

悩んでいる人たちが失敗しない転職ができるよう、よろしくお願いします!

1.転職理由No.1は人間関係! でも、裏には違う問題が……

転職したい理由として、一番多い相談は「人間関係」です。

これはよくあるパターンですよね。私のまわりでも、職場がギスギスしているとか、ちょっと合わないおばさんがいてストレス……とか、そういう話をよく聞きます。

でも私思うんですけど、こんなのを理由に転職してもいいんですかね? なんか、甘えてるみたいじゃないですか……?

いや、いいと思いますよ別に。ただ気をつけないといけないのは、職場を変えれば人間関係の悩みから逃れられるかというと、実はそういうわけでもないんですよ。実際に当人を苦しめている本当の原因を突き止めなければ、また似たような場所に転職してしまう可能性があります。

それは嫌ですね……。

大事なのは「問題の根本」に気づくことです。

人間関係以外の問題が、悩みの裏側に隠れているということですか?

そう。“人間関係の悩み” の裏側に隠れている問題というのは、大きく分けて2つのパターンが存在します。1つは、ハードワーク。もう1つは、特定のポジションについている “人” の問題です。

ハードワークって……忙しすぎが原因ってことですか?

そうです。たとえば、仕事が忙しくて余裕がないとき、人にキツくあたってしまった経験はありませんか? こういう人たちが集まってしまっている職場の場合、本質的な問題は「人」ではなく「環境」なんです。

「人間関係がうまくいかないな」と感じたら、まずは職場が忙しすぎないかということを疑ってみると良いと思います。

たしかに忙しすぎると、ピリピリしてしまいますもんね。そういう場合は、どうすればいいんでしょうか?

オススメなのは、38時間シフト制で残業なしの店舗に転職することです。そういう職場は、だいたい良い雰囲気で仕事をまわしていたり、あと、薬剤師の離職率が業界平均よりもかなり低かったりすることが多いんですよ。

人間関係に隠れた本当の原因を突き詰めよう!

なるほどね〜。薬剤師がゆとりを持って働いている店舗では、人間関係も良好になりやすいんですね。

では、特に忙しいわけではないけれど、特定の人に対する悩みがある……という場合はどうしたらいいんでしょうか?

特定の人間関係の問題でよく起こるのは、管理薬剤師の人が嫌いというケースと、年長の女性薬剤師と気が合わないというケースです。この2つのケースにはそれぞれ違う対応が考えられます。

まずは、管理薬剤師や店長と反りが合わないケース。一概にはいえませんが、たとえば個人薬局の管理薬剤師なんかは、マネジメントの研修をきちんと受けていない人がたまたまやっちゃってるようなケースが多いんです。

ですからそういった悩みを持っている薬剤師さんには、大手薬局への転職をすすめることが多いですね。大手は研修がしっかりしていて、管理職のマネジメントスキルも高くなりやすいからです。

なるほど。じゃあ、年長の女性薬剤師と気が合わないというケースでは、どういう対応になるんですか?

その場合はだいたい、新卒の受け入れに積極的な会社を紹介しますね。新卒の受け入れが多いということは、それだけ若い人が多いということですから、その分、年配者のストレスに悩まされるリスクは低くなります。

う〜ん。でも、若い人の割合なんて店舗ごとに違うんじゃないですか? 会社で選んだところで、意味がない気がするんですけど……。

それを確認するためにも、自分で見て回るんです! 私はふだん、人間関係がイヤで……と言って相談に来た方には、最低でも3社、できれば5,6社は転職前に訪問するように強くすすめています。

6社もですか!? しかも、仕事もしながらですよね。疲れて途中で挫折しちゃいそう……。

そうですね。これはどうしてかというと、「人間関係が〜」と言って職場を辞める人って、だいたい転職先を知人の紹介とかでテキトーに決めてしまっているケースが多いからなんですよ。

で、その後どうなるかというと、2年後くらいに「やっぱり違った」って言ってまた転職するんですよ。だからこういう人には、職場の選び方が問題だっていうのをちゃんと自覚させないとダメなんです。

いやー、厳しいですね……。

大事なのは、同じことを繰り返さないためにも、いま悩んでいる「人間関係」の原因は一体何なのか、しっかり突き詰めて考えるということです。

確かに仕事を辞めたいときって、「あれもこれも全部イヤだー!」ってなってしまって、何が本当の理由なのか分からなくなりやすいですもんね。だから、普段よりも余計に慎重になったほうが良いんですね。

2.キャリアアップ……欲しいのは、お金? 昇進? 経験?

さっきのは「人間関係がイヤだ〜」っていうネガティブな転職理由でしたけど、もっとキャリアアップしたい! みたいなポジティブな理由で転職する人も居るんじゃないですかね。

そうですね。ただこの “キャリアアップ” っていうのも「人間関係」と同じくらいフワフワした言葉なので、その人がキャリアアップに何を求めているのかを細かく分解してあげないと、うまくいかないんですよね。

キャリアアップを理由に転職する人には、大きく分けて3つのパターンがあります。「年収を上げたい」「ポジションを上げたい」「経験を積みたい」。この3つです。

なるほど。じゃあ、順番に行きましょうか。「年収を上げたい!」って場合は、どうしたらいいですか?

年収を増やしたい人は、まず「数字を見たいか、見たくないか」を考える必要があると思っています。数字というのは売上のことですね。売上を管理したいかどうか? です。

売上アップが求められる責任ある立場になれば、必然的に収入は増えますからね。逆に数字が見たくない場合は、地方に転職するとか、別の方法を考えることになります。

なるほど〜。あの……ズバリ、どこに転職すれば稼げるんですか?

役職によってももちろん異なってきますけど、年収が高い薬局として僕がオススメすることが多いのは、マツモトキヨシ日本調剤ですね。

おお〜そうなんですか! だいたいの年収も教えてもらっていいですか?

ざっくりですが、マツモトキヨシは店長で700万〜1,000万円、日本調剤なら薬局長で700万〜850万円くらいですかね。あと、エリアマネージャーになれば、1,000万円以上は出ちゃうと思いますよ。

じゃあ年収を上げたいなら、マツモトキヨシと日本調剤の管理職は必見ですね。しっかりメモしておきました!

あの、もちろん他にも選択肢はありますから、ちゃんと見ておいてくださいね……(なんだかメモする目が真剣だな……)

じゃあ、「役職やポジションを上げたい!」という人は、どういうところへ転職したらいいですか?

ポジションを上げたい人には、 10店舗~50店舗の中規模の薬局は避けるように話をしています。なぜかというと、中規模の会社には「離職率が低くて待遇も良い会社」が多いので、長く勤める人が多くなって、ポストがなかなか空かないからです。

なるほど。確かに、いくら昇進したいと思って頑張っても、上のポジションが空いていないとどうしようもないですもんね……。

では、最後に「経験を積みたい!」という人はどういう職場がいいんでしょうか?

経験を積みたい人は、どんな経験を積みたいのか? という「経験の中身」を具体的に考える必要があります。

経験の中身ですか……そう言われると、ちょっと難しい感じがしますね。なんか、何を勉強しておけば将来安泰かとか、色々考えちゃいそう……。

そういう場合は、「どういう働きかたをするのが気持ちいいのか」というのをシンプルに考えればいいんですよ。「バイヤーになって、全国を駆けまわりたい」とか、「大手に入ってカッコよく働きたい」とか、「休日出勤とかが無くて、早く帰れるところがいい」とか。そんなのでいいんです。

たとえば、バイヤーならイオン薬局。早く帰れるクリーンな会社なら大手の薬局……という感じで、それぞれ良い転職先候補が異なってきますからね。

自分の気持に素直になって深掘りしていけば、どんな経験が積みたいのかは自然と出てくるんですね。

はい。逆にこれをきちんと考えないで、キャリアコンサルタントの言われるがままに転職しちゃった薬剤師さんは不幸になりますね。特に若い人に多いです、ここを放置しちゃってるのは。

うーん。私の友達でも、思い当たる人が何人かいますね……。

ま、いまの時代だったらポジションの空きが多いので、まだ取り返しはつくんですけどね。将来的には分からないですからね。

3.どの分野でスキルアップしたいか? で、転職先を決める

あと、キャリアアップじゃなくて、スキルアップをしたいんだって人も結構いるんじゃないですか? 私も興味がありますし。

そうですね。ちなみにみどりさんは、どんなスキルを上げたいんですか?

どんなスキル……? うーん、改めて言われると分からないですね……。なんでも良い、とかじゃダメですよね? もちろん。

そうですね。スキルアップを目指すときは、何のスキルを上げたいのかを明確にすることが一番重要です。薬剤の知識なのか、在宅なのか、服薬指導なのか? それによってベストな転職先は変わります。

伸ばしたいスキルによって転職先が違う!よく考えて!

なるほど……一つずつ教えてください。まず「薬剤の知識」をもっと身につけたい場合は、どんな場所に転職すればいいんでしょうか?

薬剤の知識をもっと身につけたい人は、扱いたいのが処方薬なのか、それともOTCなのかによって変わってきますね。

まず、処方薬の知識が欲しい場合は、たくさんの種類の薬をあつかえる総合病院門前の薬局がおすすめです。皮膚科だけとか、眼科だけ、みたいな、いわゆる「単科」のところは避けたほうが良いですね。知識が偏ってしまいますから。

処方薬ではなくてOTCの知識を身につけたい場合には、サンドラッグみたいな、カウンセリングに力を入れているドラッグストアをおすすめすることが多いです。

なるほど……サクサク行きましょうか。次に「在宅」の場合はどうです?

在宅の場合は、居宅に行きたいのか、施設に行きたいのかでまたちょっと変わってくるんですが……居宅っていうのは、患者さんの自宅に行くスタイルの在宅ですね。施設っていうのは、老人ホームとかのことです。

その中でも居宅型の本格的な在宅がやりたい人には、在宅に特に力を入れているみよの台薬局とか、スギ薬局をおすすめすることが多いですね。

逆に、そこまでがっつり在宅をやりたいワケじゃないんだけど……って人には、居宅と施設の両方を見せて、比べて選んでもらう感じになります。

へぇ〜……在宅のなかでもまた分かれるんですね。じゃあ、最後に「服薬指導」についてのスキルを高めたい場合は、どうしたらいいですか?

一口に「服薬指導のスキル」といっても、中身は「薬の知識」と「患者さんの応対スキル」の2つに分けられますから、自分のやりたい方向はどちらなのかを見定めることが必要です。薬の知識の場合は先ほども言ったように、総合病院門前の薬局がおすすめですね。

患者応対に興味がある場合は、どういうところを選んだらいいんですか?

その場合は、いわゆる「座り投薬」に力を入れているファーマライズ薬局みたいなところを紹介することが多いですね。座りながら応対ができるので、患者さんとのコミュニケーションが取りやすいんですよ。

なるほど、確かに。

このように「スキル」と言っても本当にさまざまなので、何のスキルを伸ばしたいか? というのを事前に細かくイメージできていると、転職相談のときにも話が早いかなと思いますね。

4.こんな理由で転職したって大丈夫! ユニークな転職事例

いや〜なんか、おじさんってすごいんですね! 感心しちゃいました。どのケースであればどういう職場がオススメ、っていうのをぜんぶ頭の中に持っているんですか?

うーんまあ、正直これくらいのことはできないと、キャリアコンサルタントとしては失格だと思いますけどね。マトモな担当者であれば全員できますよ。

というか、実際のヒアリングの場面ではもっと精度の高い提案をする必要がありますから。

へー……そうなんですか。

あの、1つ伺いたいんですけど。もし仮に転職したい理由が、これまでお話いただいたような「しっかりとした理由」じゃなかった場合って、やっぱり転職しないほうが良いんですか?

わたし思うんですけど、実際の転職って、キッカケはほんっとしょ〜もない理由だったりすると思うんですよ。例えば「電車に乗りたくない」とか、「上場企業で働いてるって友だちに自慢したい」とか(笑) 面接では言えないホントの転職理由ってあるじゃないですか。

そういう下らない理由って、ダメですか? もし、そういう人がおじさんのところに来たら、怒られちゃいますかね……?

いや、良いと思いますよ。……まあ「友だちに自慢したい」とかはちょっと微妙な気がしますけど、でもそれがその人の本当の幸せなら、転職理由なんて何だって良いんです。実際、そんな理由で転職するんですか!?っていう方もけっこういますからね。

へぇ〜。たとえば、どんなのですか?

今まで伺ったなかで面白かったな〜と思うのは、「金曜の夜から土日にかけてボードゲームをしたいから、月~木の4日間で40時間働かせてほしい。24時間、深夜でも働くから!」という要望が一度ありましたね。

えーっ! ボードゲームですか。そんな人が居るんですね……。

あと、プロのコスプレイヤーの方で、「土日の撮影と平日夜の衣装づくりを重視したいので、ダブルワークOKの職場はないですか?」と相談されたこともありました。

転職理由にNGはない!気持ちにとことん正直に!

ダブルワークOKなんて、そんな職場あるんですか?

はい、ありますよ普通に。あと、「もっと合コンをしたいから転職する」っていう人もいましたね。その人は地方の方だったんですが、27歳で彼氏もいないから、合コンに本腰を入れないと、そろそろ婚期を逃しそうだっていって……。

リアルですね〜〜! でも、わかるなぁ~……。それで、その方はどうしたんですか?

その方は、僕が「恵比寿なら街コンが多いですよ」って感じの提案をした結果、見事、恵比寿の店舗に転職されましたね。もちろん、場所以外の条件もきっちり希望通り調整してですよ。

街コンが多いってだけで、転職決めちゃったんですね。笑

はい。そのあと、友達とめちゃくちゃ合コンに行きまくっているという喜びのご連絡を頂いているので、もう完全に転職成功ですよね、これ。今でも楽しそうに働いてくれていますよ。

あー! ……あと、これはみどりさんに話すのはどうかと思うんですけど、風俗に行きたいからどこかオススメの職場はないですか? っていう男性が過去に1人居ましたね……。

うわー最低!!!……っていうかおじさん、そんなのも真面目に対応してるんですか……?

ええ、しますよもちろん。仕事ですから。

すごいなぁ……でもそういうお話を伺うと、幸せの形は人それぞれだってことがよく分かりますね。

そうですね。実際の要望が叶うかは別としても、自分の気持ちにとことん正直になってみるのが転職成功の秘訣だと思いますよ。

まとめ

転職理由で悩んだときの対処法

  • 人間関係悪化の裏にある、本当の原因を突き止めよう
  • キャリアで悩んだら「どういう働き方が気持ちいいのか」を考えてみよう
  • それが自分にとっての本当の幸せなら、下らない転職理由だって大丈夫

いろんな転職理由があるんだと思ったら、勇気が出てきました! 私も転職しちゃおっかな~。

背中を押せたのは良かったですが、転職においては考えておかなければいけないことがたくさんありますからね。考え込み過ぎず、でも慎重に進めていってくださいね。

そうですね。ありがとうございました!

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