ドラおじコラム
薬剤師の派遣ってどうなの?メリットとデメリットを転職のプロに聞いてみた
こんにちは! 薬剤師のみどりです。
さて、あなたは「派遣の薬剤師として働く」というのをキャリアの選択肢に入れたことはありませんか?
薬剤師の派遣は、他の業界の派遣にくらべてとっても高時給。時間の融通も正社員より効きやすそうだし、ちょっと興味あるな〜という方も多いのではないでしょうか。
でも、あまりに時給が高過ぎると「逆に何か裏があるんじゃ……?」って勘ぐってしまいますよね。あと、派遣切りにあって路頭に迷ったりしないか心配、なんて方も居るかもしれません。
そこで今回は、すこしでも「派遣」という働き方に関心がある方の不安を解消するために、派遣の事情に詳しい薬剤師転職のプロ、ドラおじさんに「派遣で働くメリットとデメリット」を聞いてきました!
1分要約
薬剤師の派遣ってどうなの?
もくじ
登場人物紹介
- ドラおじさん
- 薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザー。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら)
- みどり
- 当サイトのナビゲーターで、都内の製薬会社でDI・学術担当として従事している設定の薬剤師。中の人は薬剤師が監修してます。全国の悩める薬剤師たちを代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!
今回のテーマは「派遣」ですね。
派遣って、私はやったことないんですけど、実際にやってる薬剤師の友だちは何人か居ますね。あと、なんかすごい時給が高いっていう広告をよく見かけます……。
そうですね。薬剤師の派遣は事実かなり高時給ですし、そこに興味を持ってご相談に来られる方はとても多いですよ。
ただ、派遣という働き方には色々と気をつけたほうが良いことがあってですね……給料の高さだけを目当てに安易に派遣を選ぶと、後で痛い目を見る可能性があります。なので、全ての薬剤師さんにおすすめしている訳ではないことをまず覚えておいてください。
高時給になるのにはちゃんと理由がありますし、派遣という働き方でできること、できないことがありますから、今回はそのあたりを解説するつもりです。
分かりました。よろしくお願いします!
1.派遣のメリットは、高収入と、自由すぎる働き方!
ということで、まずは転職サイトで実際にどんな派遣の求人が出ているのか見てみましょうか。これは「ファルマスタッフ」という薬剤師専門の転職サイトに載っている、派遣薬剤師の求人の例です。
土日休みOKで週3日、18時定時で時給3000円ですか……これって、けっこう良い条件ですよね?
そうですね。まあベーシックな内容ではありますが、薬剤師の派遣の条件としては良い方です。
薬剤師が派遣ではなくパートで働く場合、時給は1,800円から2,200円くらいが相場です。しかし派遣の場合は、2,500円から3,000円くらいが相場になっていますね。
へぇー……派遣のほうが、パートより700円くらい高いんですね。
ちなみに僕が今まで見たことがある中で一番すごかったのが、鹿児島の、薬剤師が全然いない地域の薬局で、時給9,000円っていう派遣の求人ですね。
きゅ、9,000円!? 日給の間違いじゃないんですか?
いいえ、時給です。ま、これは極端な例ですけどね。
あと、たとえば正社員の方の年収が500万円の場合、時給に換算するとだいたい2,500円くらいなんですけど。仮に時給3,000円の派遣の方が同じ時間だけ働いたとすると、だいたい年収600万円になるんですよ。
えっ、じゃあ正社員よりも派遣のほうが年収が100万円高いってことですか?
はい、この場合はそうなりますね。
あの、なんでそもそも派遣薬剤師って給料が良いんですか? 代わりに馬車馬のように働かされるからですか?
いやいや、全然違います……これはものすごくざっくりいうと、派遣は人がどうしても足りないような職場に割り当てられるケースが多いからなんです。
あー、そうか! だからその分、ちょっと時給が高くなるんですね。納得。
そうです。要は、僻地の薬剤師の年収が高くなるのと理屈は同じです。
あれ? でもそうするとやっぱり、派遣は仕事が忙しくて大変、ってことになりませんか? 残業も、嫌々やらされたりとかして……。
いや、残業を嫌々やらされるなんてことは無いと思って良いです。そんなことをしても、薬剤師さんに辞められて薬局が困るだけですから。実際、派遣薬剤師は正社員よりも勤務時間の融通が効きやすいですからね。
たとえば、9時から13時までしか働けないという場合は、その内容で調整してもらえますし、絶対に残業をしたくないという場合は、残業の発生しない勤務先を調整してもらえます。
給料が良い上に、時間のワガママも聞いてもらいやすいなんて、なんか悪いことしちゃってる気分になりそうですね……。
良いんですよ、そんなことは気にしなくても。ですから派遣というのは、お子さんがいらっしゃる薬剤師さんや、趣味などのプライベートを優先させたい薬剤師さんにはぴったりな働き方と言えます。
ただですね……残業をしなくて良いとは言っても、派遣は忙しいといえば忙しいですからね。仕事の時間は融通が効いても、仕事の密度が通常より高くなることはあり得ます。前提として、人が足りていない職場に派遣されるわけですから。
職場にもよるとは思いますが、とりあえず楽とか、暇ってことはあり得ないのでそこは気をつけてください。
まぁ……そうですよね。笑
あとは逆に、短期間でお金をたくさん稼ぎたいから、あえて残業が発生しやすい派遣先で働くという選択肢もあります。
「残業がしたい」だなんて、そんな人いるんですか?
居ます居ます。例えば、田舎でもどこでもOK、とにかく給料が高ければ何でも良いです!って言って派遣で3ヶ月働いて、契約が終了したら1ヶ月くらい海外旅行に出かけて……みたいなことを繰り返している薬剤師さん、ときどき居ますよ。
すごい……自由すぎる……。
羨ましいですよね。だからこういう自由な働き方ができるのも、派遣の大きな魅力だと思うんです。
2.派遣のデメリット。派遣薬剤師は、勤務地を選べない
あの、いま私、派遣っていう働き方がすごく魅力的で、ちょっとやりたいなって気分になってるんですけど。もちろん、デメリットもありますよね?
残念ながら、ありますね。デメリットは大きく2つあります。まず1つ目は「勤務地を選べない」ことです。
これは薬剤師に限った話ではないんですが、派遣業というのは「派遣法」によって規制されていて、同じ職場には原則として1年間しか居られないことになっているんです。
えっ、そうなんですか? 私の友だちで、同じ職場で1年以上派遣で働いてる人、いますけど……。
えっとですね、1年というのはあくまで原則で、派遣先と調整することで最長で3年間まで延長することも可能なんです。
ただ、まぁ……正直、半年も居たら長い方ですね。だいたい、3ヶ月おきくらいのペースで勤務地を変えている薬剤師さんが多いですよ。
そうなんだ。でもさっき、派遣会社さんが勤務時間をうまく調整してくれるんだって言ってたじゃないですか。同じように、勤務地も調整してもらえないんですか?
そりゃあもちろん調整しますけど、必ずしも条件に合う勤務先が希望の場場で見つかるとは限らないんですよ。基本的に、条件をたくさんつければつけるほど勤務先の候補は減りますし、あと自宅から遠くなります。
じゃあ場合によっては、条件が厳しすぎてマトモに通えそうな派遣先が見つからないなんてこともあるわけですか。
ありますね。例えば、派遣でよくあるのが「子供の都合で、自宅から徒歩15分以内、9時から13時でしか働けない」という条件の人。これ、かなーり勤務先が限られてきます。最初の派遣先はなんとか見つかったけれど、次の派遣先がなかなか見つからない、なんてこともあります。
そうなんだ……いやー、あちこち転々としないといけないのは、嫌ですね……。
独身の方だとフットワークが軽いので、大丈夫なんですけどね……。お子さんがいらっしゃる薬剤師さんだと、場所も限定されますし、保育園のお迎えで18時までに上がりたいなんてケースも多いので、派遣先を探すのがけっこう大変になります。
だから派遣になったら、派遣会社から提案される勤務地にがんばって行くか、断るかのどちらかを何度も選択しなければいけないんです。
いい派遣先がなかったら、毎回、苦渋の決断をしなきゃいけないわけですか……。
それで、もうひとつの派遣のデメリットというのは?
2つ目のデメリットは「患者との関係構築ができない」ことです。これ、あまり指摘する人がいないですが、今後とても重要になるポイントです。
薬剤師の派遣は、患者さんとの関係を構築する前に契約期間が満了してしまうことが多いんです。ですから、患者さんとの関係づくりに仕事のやり甲斐を感じている人は、派遣は向いていないかもしれません。
そっか。たしかに半年だと、やっと常連さんのことをわかり始めるくらいですよね。人によっては、やるせなさが残りそう。
でも、それってそんなに大事なことなんですか?
ええ。なぜかというと、国はいま「患者さんに服薬指導をして不安を和らげたり、的確なアドバイスをしたりできる薬剤師」を増やそうという取り組みに力を入れているからです。
だから、短期間で職場から居なくなってしまう派遣薬剤師というのは、国の動きと逆行している存在なんですよ。仮に将来、いまよりももっと高度な服薬指導をするのが当たり前の時代が到来したら、まわりの薬剤師に遅れをとる可能性があります。
なるほど。もっともな話ですね……。
あ、でもおじさん。派遣って、いろんな職場を転々とするじゃないですか。だからその分、いろんな経験ができてスキルアップにつながるんじゃないかとか、今思ったんですけど。どうですか?
それ、勘違いです。同じことを思っている薬剤師さん、けっこう居るんですけど。職場を転々としたくらいで伸びるスキルなんて、たかが知れていますから。
もちろん、眼科とか皮膚科の門前しかやったことがないみたいな人であれば話は別ですけど。
はぁ……そうですか。笑
派遣でスキルアップするのは、基本的に無理だと思った方が良いです。同じ職場に短い期間しか居られず、患者との関係構築もろくにできない。そんな中で、時代に求められるスキルをしっかり伸ばしていくのは難しいと私は思います。
3.派遣切りって実際、あるの?保険や、福利厚生は?
派遣っていうと、やっぱり気になるのは「派遣切り」です。
薬剤師さんの中には、「派遣ってちょっと興味あるけど、いきなり次の更新はありません、って言われて収入が途絶えたりしないか心配……」みたいな人も居るんじゃないかと思うんです。そのあたり実際、どうなんですか?
そうですね、相談に来られる方も多くの方が派遣切りを気にされていますが、結論から言うと薬剤師でも「派遣切り」は有るには有りますが、他の業界よりは少ないと言えます。
なるほど。薬剤師の派遣切りが少ない理由は、やっぱり人手不足だからですか?
はい。今でも正社員が足りておらず、派遣に頼っている状態だからです。ただ裏を返せば、薬局が別枠で正社員を確保できたら、派遣は契約を更新されない可能性もあるということになります。
やっぱりそうですよね……。
実際、高いコストがかかる派遣を切って、正社員やパートを入れたいと考えている企業は多いんです。企業は、診療報酬の改定、薬価の改定による、売り上げ減、利益減を心配しているんですよ。
それに人事担当者の中には、「派遣は会社にとってなるべく居ない方がいい存在だ」と言っている人もいるくらいですから。
うわぁ……そんな風に思われながら働くなんて、すごく嫌です……。
おそらく新卒採用がうまくいっている都合で、派遣をあまり取らなくなってきている企業は大手中心に増えてきているはずです。従って、派遣先は中小が多くなってきているのではないかと思います。あと、大手でも僻地とか。
そうかぁ〜。当たり前といえば当たり前ですけど、人気の地域とか職場には派遣ではなかなか行きづらくなって来ているってことなんですね……。
ただですね、もし仮に派遣切りにあうとしても、その職場での働きぶりが高く評価されていれば、その前に「正社員として直接雇用したい」というオーダーが来ることもあるんですよ。
へー! それは有難いですね。
ケースとしては10人中1人か2人くらいですけどね。その薬剤師さんが優秀な人だった場合の話なので。
あとは直接雇用のオーダーがなかったとしても、今ならよっぽどのことがない限り、別の職場で正社員またはパートで雇ってもらえる機会はあるはずです。言っても薬剤師ですからね、今はまだ大丈夫なんですよ。
ということは、「派遣切り」にあったとしても路頭に迷うことはない……と考えていいんですかね?
基本的にはそうです。今は、ですけど。
良かった……でも、うかうかして居られないですね。
4.派遣でも福利厚生ってあるの? 産休・育休って取れる?
あと、もう一つ疑問に思っているのが、派遣の福利厚生です。やっぱり、正社員と同等の制度とかは受けられないんでしょうか?
いえ、そんなこと無いですよ。派遣スタッフは「労働基準法」と「派遣法」で守られていますから、福利厚生は正社員と変わりません。
ただ、週に30時間は勤務しないと社会保険に加入できないケースが多いので、そこは注意してくださいね。
正社員と同じってことは、産休とか育休も取れるんですか?
もちろん取れますよ。ただこれも派遣会社によって1年勤続とか、3ヶ月勤続とか、取得できる条件に違いがあるので、そこは最初に確認したほうが良いです。
あとですね……産休を取るために派遣を選ぶっていうのは、実は僕はおすすめしていないんですよ。
え、そうなんですか? だってさっき、子持ちの薬剤師には派遣がピッタリだって言ってたじゃないですか。矛盾したこと言ってますよ。
それは子どもを産んだあとの話です。これから出産しようって方が、その準備のために派遣という勤務形態を選んで、派遣会社で産育休を取得するというのは、可能かどうかといえば可能なんですけど、僕はおすすめしません。
なんでですか? 違いが分からないんですけど。
理由は2つあります。1つ目は、復職が難しいということです。これは薬剤師にかぎらない一般論なんですけど、産後のブランク明けの女性を新規で雇うっていうのは、雇う側からするとけっこうハードルが高いんですよ。
それは分かりますけど、そういう事情も含めて仕事を調整するのが派遣会社の役割なんじゃないんですか?
それはそうですけど、さっきも言ったとおり派遣って勤務先までの距離を選べないんですよ。望むと望まざるとに関わらず、派遣先が自宅からすごく離れた場所になってしまうことが普通にあるんですね。
たとえば、出産前は自宅から自転車で15分くらいのところで働いていたのに、いざ復帰しようとしたら、産後のブランク明けということで難色を示された。で、けっきょく自宅から電車を使って1時間以上のところでやっと受け入れてもらえた……とか、全然あり得る話です。
うっ……確かにそれはちょっと嫌かも……。
ですよね? しかも、その職場も3ヶ月くらいしたらまた別の職場に変わりますからね。
なんか落ち着かないですね……普通の人ならともかく、産後の人にはちょっとキツいかも。で、もう1つは?
2つ目は、職場の理解が得られにくいということです。派遣って、そもそも人手不足の職場に割り当てられますし、給料も高いじゃないですか。ですから、派遣先でもある程度「良い働き」を期待されているわけですよ。
でも、産後にいきなりそんなこと期待されても無理だと思いませんか?
そりゃあそうですよ。ブランクがあるし、育児のストレスだってハンパないでしょうから……あ。でもそうすると、派遣先の薬剤師さんたちからは……。
風当たりは強くなりますよね、残念ながら。これが元いた職場であれば、ある程度は理解してもらえると思うんですけど。多くの場合、復帰するのは知り合いすら1人もいない新しい派遣先ですからね。
たとえば、小さい子ってすぐ風邪を引きますから、保育園とかから「今すぐ迎えに来てください」って頻繁に呼び出されるんですよ。復帰直後だと特に。それを派遣先でどう思われるかって話です。
うわぁ〜……すっごい嫌です……。
そう、だから出産の準備をするための転職だったら、派遣じゃなくて、大手の会社に正社員で入っておいたほうが良いって話を僕はいつもしているんです。
大きい会社であればあるほど、産休育休明けでも自宅近くの店舗に入れてくれるような融通が効く可能性が高くなります。場合によっては、産休前と同じ職場でまた働ける可能性だってあります。その方がママさんからしたら安心じゃないですか?
です。です。
実際、育児や出産を見据えて大手に入っておきたいというご相談をされる薬剤師さん、けっこういらっしゃるんですよね。発想としてすごく良いと思いますよ。
5.派遣でも、キャリアアップってできるの?
さっき、派遣でスキルアップは難しいって話をしてたと思うんですけど、じゃあキャリアアップのほうはどうなんですか?
まぁ、そもそも派遣を選んでる時点でキャリアアップには興味無さそうな気もするんですけど……。
はい。仰る通り正直あんまり話すら聞かないですけど、無理ですよ。キャリアアップなんて。
派遣が管理職になれるわけがありませんし、マネジメントなんてやらせてもらえるはずがありません。店舗運営や人材育成みたいな仕事を、派遣薬剤師に任せることはまずないですから。当たり前ですけど。
まぁ、そうですよね……。
でも、現職でのキャリアアップは望めなくても、その後のキャリアで、派遣をやってたことが何かしらのプラス要素になったりすることって無いんですか?
うーん……あるかなぁ……。
はい。無いですね。笑
いや、むしろ働き方によっては、マイナスに作用するケースのほうが想定しやすくてですね……。
マジですか。笑
はい。どういうことかというと、転職の際に採用面接で「なんでわざわざ派遣やってたの?」って聞かれると思うんですよ。そのときに何て答えるのかってことです。
例えばですけど、派遣をやっていた特段の理由がなく、「いやちょっと遊びたいと思って……」みたいなことしか言いようがない状況だと、評価は下がることがあります。
えっ、そんなことで評価が下がるんですか?! ちょっと遊んでいたい時期があったって別に良いじゃないですか!
それには私も同意しますけど、仕方ないんですよ。穿った見方をされたり、お金目当てなんじゃないか?みたいに思われてしまうのは。やっぱり「派遣」ってだけで、ちょっとした誤解を受けやすいフシがあるんですよね。
まあ、お金目当てであることは否定のしようがないですからね。笑
たとえば、現年収700万円、過去の経歴で「派遣」って書類に書いてあったとするじゃないですか。そうすると、あーこの人はお金が欲しい人なんだな、どうせお金が不満ですぐ辞めちゃうんじゃないかなあ……とか思われるケースが残念ながら多いんですよね。
そっかぁ……なんか腹立ちますけど、まあそうですよね。あと偏見ですけど、派遣をやってる薬剤師さんって「ちょっとクセが強い」ってイメージがありますし。
でも、それってもう何も手の打ちようが無いんですか?
いえ、やれることはあります。まず、なぜ派遣をやっていたのか?の説明の際に、納得感のある理由を言えるように面接対策をしっかりとしておくことです。
例えば、育児や介護などで、限られた時間の中でお金を稼がないと厳しい状況があったので、お金目当てで派遣をやっていた、とか。このような話であれば、採用側にも納得してもらいやすいでしょう。
えーっと、じゃあ育児や介護が理由じゃなくて、本当にただなんとなく遊びたくて派遣をやってた場合は? 嘘つくんですか?
いや、嘘はダメでしょ常識的に考えて……そのときは「なぜ派遣をやっていたか?」のほうは仕方がないから潔く認めつつ、「なぜ正社員に戻りたいのか?」ここを作り込みます。
例えば、やはり正社員としてきちんと安定した雇用が欲しくなったのと、患者との関係構築ができない、国が求めている薬剤師になれないというのがすごくストレスだった。
だから今回、国が求めている薬剤師像に近づくために、正社員としてやり直したいと思っている。こういう内容だったらまあ、まだマシですね。
あー良いですね! めちゃめちゃそれっぽい!笑
いやあの、言うだけじゃなくて、ちゃんと思っててもらわないとダメですからね……。
6.派遣は、ちゃんと「派遣をやってる紹介会社」を選べ
ありがとうございました。ここまで聞いて「派遣をやりたい」って気持ちになってる人は、あとはもう、紹介会社に登録するだけでバッチリですかね?
ちょっとまってください。派遣っていうのは、紹介会社によって取り扱っているところと、そうでないところがあるんですよ。だから、派遣を取り扱ってない紹介会社に登録しても無意味ですよ。
えっ、そうなんですか?! それは、言われないと分からないですよ……。
例えば、こちらの記事でオススメとして紹介しているリクナビ薬剤師や、マイナビ薬剤師は、派遣をそもそも取り扱っていませんし。
じゃあ、どこがオススメなんですか?
選択肢はいくつかありますが、まず私がいつもおすすめしているのは、冒頭でも出てきた「ファルマスタッフ(会社名はメディカルリソース)」ですね。
ファルマスタッフは日本調剤グループがやっている紹介会社なんですが、ここは薬剤師の派遣においては求人取り扱い数、拠点数、ともに業界最多です。なので、派遣をやりたい場合はこの会社が選択肢に入らないことはまずありません。
へー、そうなんですね。ちなみに、ファルマスタッフの「拠点数」が業界最多っていうのは、なにか良いことでもあるんですか?
というかその前に「拠点」って何でしたっけ……?
拠点というのは、薬剤師さんが相談に来たときに応対できるようにしてある場所のことです。
ファルマスタッフは会社のポリシーとして、求職者に会う姿勢を大切にしていて、できる限り対面で求職者の相談を聞くようにしているんです。拠点数を多くしているのはそのためで、要は地方の薬剤師さんでも対面のコンサルティングが受けやすい環境づくりに力を入れているということです。
なるほど。多少は安心かもしれないですね。
まあ、薬剤師さんによっては「対面は嫌」っていう人も居ますけどね。初めて派遣をやりますって方は、対面のほうが安心できるでしょうから、ファルマスタッフは特にオススメできると思いますよ。
あとそれ以外の紹介会社で挙げるとしたら、ファルマスタッフよりは規模的には劣るが、ファルマスタッフに無い特徴を持っている派遣会社ですかね……。
具体的にはどこですか?
まず、クラシスの「ヤクジョブ」ですね。ここは、ファルマスタッフの次くらいに規模が大きい薬剤師の派遣会社です。この会社の特徴は、派遣薬剤師むけの福利厚生がめちゃくちゃ充実しているっていうことですね。
具体的には、まず「Kポイント」っていうポイントサービスを薬剤師さん向けに提供しているようですね。あと、今はもうないですが以前は「クラシス・クラブオフ」っていう、レストランとかエステなんかを割引価格で利用できるサービスも提供していました。
なるほど……ただ、それを理由に派遣会社を選ぶっていうのもアレな感じしますけど……。
いやいや、この手のサービスって、準備したり運用したりするのけっこう大変なんですよ。派遣会社としても良い会社だと思いますし、ファルマスタッフと一緒に検討する会社としてはちょうどいいと思いますけどね。
たしかに、どちらでもいいならポイントが付く方にしよう、って思う人も、居ないでもない気はしますね。笑
それとあと1つオススメなのが、「メディカル・プラネット」です。
あれ? ここって、以前インタビュー記事で取り上げられていた会社じゃないですか?
そうです。薬剤師の派遣事業としては規模が小さい会社ですが、ここの派遣サービスは面白くて、じつは派遣登録できる薬剤師さんのハードルが他社よりもちょっと高いんですよ。
えっ、じゃあスキルが低いと登録できないかも知れないってことですか?!
そうです。なぜそんなことをしているかというと、スキルの高い薬剤師さんだけを集めると、派遣先からの評判が良くなりますよね。そうすると、薬剤師さんの条件の交渉がしやすくなるからなんです。
だから、専門的なスキルを持っている薬剤師さんとか、経験豊富な薬剤師さんが派遣をやりたい!っていう場合は、メディカル・プラネットの派遣サービスが特にマッチするんですよね。
へ〜なるほど、小さい会社だとそういうことができるんですね。派遣だけどプライド持ってしっかり働きたい!っていう方も、いますもんね、きっと。
あの、喋ってて思ったんですけど。そもそも私、薬剤師が派遣で働くってことを、今後けっこう厳しいって考えているっぽいですね……。
はい。そうじゃないかと思っていました。笑
やっぱり、国が求めている方向と逆行しているということに尽きるんですよね。国が、かかりつけ薬剤師になってくれ、薬局にかかりつけを置いてくれと、すごく強くメッセージを出しているわけじゃないですか。
その状況のなかで派遣を選ぶというのは、「本当にお金と時間のみを考えている人」か、さっきお伝えしたような「育児や介護でどうしてもお金が必要な人」だけにしたほうが良いと今回改めて思いました。
確かに、普通に働ける若い2年目とかの薬剤師が「もう働くのめんどくさいから、派遣で週3とかでダラダラやるわ」みたいな感じになっちゃったら、国としては「ちょっと待って……」って感じになるのは想像つきますね。
そうですね。そのパターンはだいぶダメです。
とはいえ、薬剤師さんが派遣をやるなら今がチャンスなのも事実なんですよね。今後、診療報酬がガクっと下がったら、今みたいな良い条件で働くことはできなくなるはずですから。そのときは、いつか必ず来ますからね。
ですよね……時給9,000円とか、常識的に考えておかしいですからね……。
ま、いいや。とりあえず今日はありがとうございました!
なんかすいません。笑
※ 本記事は、ファルマスタッフ、メディカル・プラネット、マイナビ薬剤師、リクナビ薬剤師から提供を受けた広告リンクを含んでいます。掲載内容については弊社のコンテンツポリシーに基づき、弊社の監修アドバイザーの助言を受けて制作しています。
- 最終更新日:2020年8月26日
- カテゴリー:ドラおじコラム