転職ご相談事例
20代後半薬剤師の年収が知りたい。病院薬剤師って、ボランティアでしたっけ?
- 明美さん
- 27歳、女性
出身校の大学病院にレジデントとして採用され、そのあと正規職員になりました。今は3年目で、仕事にもだいぶ慣れてきたところです。
整形外科病棟に配属されていて、ドクターと一緒に回診したり、カンファレンスにも参加し、最先端の医療に触れて、やりがいを感じる毎日です。リウマチや骨粗しょう症の患者さんの自己注射導入指導も任されています。はじめは不安そうだった患者さんが、自分の指導を受けて前向きに治療に取り込む姿勢を見せてくれたときには、やっぱり病院薬剤師になって良かったと、心から思います。
ただ、どうしても1つだけ納得できていないのが、待遇についてです。
土日の勤務や持ち回りで夜勤の担当もあり、残業もそれなりにあるので、仕事は結構キツいです。それなのに、実は去年の年収は500万円いきませんでした。職場の先輩にそれとなく聞いてみても、年功序列で給料がどんどん上がっていくってことはまずなさそうです。
今の仕事にやりがいがあるのは事実ですが、あまりに年収が低すぎて……。ボランティアじゃないんだからと思っちゃいます。
大学の友人と集まったりすると、直接聞いたわけじゃないですが、頻繁に海外旅行に行ったり、高級なスキンケア用品を使ったり、みんなかなり余裕のある生活をしているように見えます。病院薬剤師の給料が低いのは分かった上で、やりがいを重視して就職を決めたのは自分なのですが、いざ比べてしまうと少し落ち込みます。
そこでドラおじさんに聞きたいのですが、私と同世代の薬局薬剤師ってどれくらいの年収をもらっているのでしょうか?あまりに違いがある場合には、いっそのこと転職も検討するべきか悩んでいます。
- ドラおじさん
- 薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザーで、薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら)
病院の薬剤師で年収500万いっている人って、そんなに多くないですよ。
だから別にボランティアじゃないけどな、500万もらってるんでしょ?って、思っちゃうんですけどね。薬局薬剤師だと、30歳ぐらいで500〜600万ぐらいもらっている人たちは普通に居ます。ただ、病院で同じ年齢で同じ額を稼ぐのってかなり難しいですよ。
旅行に行ったり高級なスキンケア用品を買ったりというのは、病院だと、旅行はちょっと時間が作りにくいですからね……。
そもそも、病院には「これから死ぬかもしれない人」が来ますよね。明美さんは大学病院なので急性期病院だと思いますが、死ぬ可能性がある人を取り扱っているのが病院で、死なない人を取り扱っているのが薬局。そりゃあ、薬局はお休みもできるし旅行にも行けますよね。だって死なないんだもん、っていう。
いま薬局に、夜勤なんかほとんど無いですよね。病院に夜勤があるのは死ぬかもしれないからです。救急車が来るのも、土日に勤務しているのも、死ぬかもしれないからです。
一方で、病院で金を稼いで売上を作っているのは誰?というと、ドクターです。薬剤師ではありません。病院において薬剤師は、患者さんの満足度を上げるためのオプションに過ぎません。だから、病院では薬剤師の年収が上がらないんです。
転職をするべきかどうかで言うと、明美さんの場合はもう少し詳しくお伺いしないと分からないなと思っています。やっぱりやりがいが大事、というのであれば病院で頑張るのが良いと思います。500万も貰えているのですし。
ただ女性なので、今後のご結婚、ご出産などのライフイベントのことを考えると、旅行とかスキンケアに興味があるのであれば、独身のうちにプライベートを満喫する時間とお金のゆとりを得るというのも人生の考え方です。その場合は早めに転職したほうが良いと思います。
子どもが生まれたら、遊ぶ時間なんて全くありませんからね。私、まだ遊びたかったのにぜんぜん遊べていない……みたいなわだかまりを抱えたままでいいのか?というのは、ご一考いただくとよろしいかと。
- すなめり
- 薬剤師、調剤併設ドラッグストア勤務。管理薬剤師経験あり。プライベートでは3人の子を持つワーキングマザー。
いやー、めっちゃかっこいいじゃないですか、大学病院!
私みたいな薬局薬剤師からしたら、病院薬剤師ってきっと知識のレベルも全然違うし、薬剤師としても、なんとなくワンランク上みたいな、雲の上の存在のようなイメージがあります。大学病院の就職試験って倍率も高いし、それを突破できたってことは、本当に優秀な方なんだと思います。
子持ちのおばさんとしてアドバイスさせてもらうと、薬剤師の場合、お金貯めるのは結婚して子供生まれてからでいいんですよ。独身時代の貯金なんて、結婚式の無駄遣い費用と、離婚した時用のへそくりになるのがオチですから。(笑) 貯金とかにこだわらなければ、今の年収でも海外旅行にも行けるし、高級スキンケアだって買えますよね?とりあえず使っちゃえばいいんです!
それより、もし調剤薬剤師に転職しちゃったら、大学病院に戻るのはまず無理です。もうちょっと今の職場で頑張って、専門薬剤師取ったり、学会で発表したり、薬剤師としてスキルアップすることに注力してほしいです。薬局に転職するのは、その職歴なら、本当にいつでもできるから大丈夫!
ちなみに、私が明美さんと同じ27歳だったときは、たしか年収600万くらいでした。ドラッグストアの地方の店舗で、併設の調剤薬局の薬剤師として働いていた頃ですね。その後結婚して、子供が生まれてからは時短勤務に変えたので、今は年収400万ちょっとです。
私は地域密着のドラッグストアの仕事が気にいっているし、これからは子供の教育費を稼がなきゃいけないから、多分もう病院薬剤師として働く事はないかなと思います。でも、薬剤師になったからには、明美さんのように大学病院とかで、職能を生かして、本当のチーム医療に関わってみたかったなーと思うときもあります。
あーだこーだ言いましたが、とにかく伝えたいのは、
辞めるのは本当にもったいないから、もうちょっと頑張って。今のお給料でも、無駄遣いしちゃえばいいじゃん!
ってことです。自分に自信を持っていきましょう!