転職ご相談事例
薬学部で、奨学金の利用を検討中。返済を肩代わりしてくれる薬局や病院、企業ってある?
- まいこさん
- 18歳、女性
はじめまして。地方在住の高校3年生で薬学部に合格し、進学が決まりました。
薬学部の学費は、借り入れで賄う予定でおります。この先6年間の学費を全て借り入れるとかなり高額になってしまいます。両親の年収が2人あわせて1,000万円以上あるため、貧困家庭向けの奨学金は対象になりませんでした。けれども、兄弟が4人おり私が一番上なので、下の子の将来を考えると学費の捻出は苦しいのが現状です。そのため借り入れをした学費は私が全てを返済する約束で、薬学部の受験を説得したという経緯があります。
なるべく返済する金額を減らしたいので調べてみたら、「地方の薬局で奨学金を受けることができる」との話を耳にしました。奨学金を実施している、おすすめの薬局や病院はありますか? 給付型・貸与型があると思うのですが、できれば給付もしくは利子が安い貸与型を希望しています。薬局や病院以外でも、おすすめの奨学金があったら教えていただけると嬉しいです。
高校の成績は、学年上位10%以内で、評定平均は10段階中9です。薬剤師になるのが子供のころからの夢だったので、勉強は苦になりません。
アドバイスを宜しくお願いいたします。
- ドラおじさん
- 薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザーで、薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら)
ご質問ありがとうございます。ドラおじさんです。
薬剤師を目指して頑張っていて、成績も良いのでしたら、給付型などの奨学金を得られると思うのでそちらをまず目指すのをおすすめします。まだ高校生で若いですし、成績が良いことに加えて、薬剤師になりたい欲が強いこと、そして、文面を見る限り真面目で素行不良などを起こすこともなさそうだと推察します。給付型の奨学金は、成績の低下や素行不良などで打ち切りがありますが、まいこさんならそうした心配はないと思うのです。
貸与型の奨学金を利用して、返済をしながら働く方は結構いらっしゃるイメージがあります。ただ、企業の奨学金というのは借り方としてあまりメジャーではありません。そして、個人的には利用を極力おすすめしないです。理由は、キャリア選択の幅が狭まってしまうためです。
企業の貸与型奨学金は、基本は3年くらいの期間で返済できるように設定されていることが多いです。完済したら転職は自由にすることができます。しかし、仮に返済期間中に転職したくなった場合、ケースにもよりますが「返済期間中に転職する場合は全額一括返済すること」などと書面で明記されている場合があり、それが自由なキャリア形成の妨げになってしまいます。なお、この縛りは契約ではなく単なるお願いベースの場合もありますが、どちらにしても転職しづらいことに変わりはありません。
企業の奨学金を検討する場合には、要綱をよく読んで、どんな条件なのかしっかりと確認をしてくださいね。分からない所があるまま応募するのは絶対に避けましょう。
企業の奨学金を借りると、基本的にその会社に就職することになります。ですので就活をしないで済むことがメリットだと思うこともあるかもしれませんが、お金のためにわざわざ貴重な新卒カードを捨てるのはもったいないです。まずは給付型の奨学金を目指してみてはいかがでしょうか。
- ひとみ
- 薬剤師、ライター。オランダ在住。(詳細はこちらのページで)
これだけ成績が良くて、勉強が苦にならないのであれば、奨学金をもらってもきちんと返せる企業に就職できると思います。病院の収入は薬局に比べると、どうしても低くなってしまいます。私立の薬学部となると6年間の学費は1000万円以上かかるので、その借金と奨学金を就職先で借りた場合の年収の差を考えると、返済するなら収入の高い薬局を選んだ方がベターではないでしょうか。
私の友人にも、貸与型の奨学金をもらって大学院まで進学した子がいました。奨学金で借りているお金は500万円以上あるって。彼女は結婚を考えている彼にそのことを打ち明けるべきかどうか悩んでいました。「500万円以上の借金を抱えている私と結婚してくれるのかな……」って。
こんな風に貸与型の奨学金の場合は返済を終えない限り、いつまでも負担になりますよね。まいこさんのおっしゃる通り、給付型か低利子の奨学金を探して、借りた場合はなるべく早く返済したいものですよね。
以下で、入学してからも受けられて、まいこさんが利用できる奨学金の一部をご紹介しますね。
給付型奨学金
河内奨学財団
一部を除いて、他の奨学金と併用することは出来ませんが、返済不要の給付型奨学金です。卒業後の進路や就職は本人の自由なので、決まりに縛られることがありません。
平成30年度の募集要項では、大学生第1学年を32名募集しており、入学後の5月21日までに書類を郵送なので、入学してからの申し込みでも間に合います。月額4万円を、正規の最短修業年限の終期まで給付して貰うことができます。
貸与型奨学金
帝人奨学会
他の奨学金と併用することができます。修士課程では月額8万円の貸与を受けられ、博士課程では月額10万円の貸与を受けることができます。卒業後に帝人奨学会が指定する大学や研究機関などで、貸与期間の2倍の期間を学術研究活動にあたると、返済が免除されます。
採用は年間10名と狭き門ですが、専攻の基準は、経済的な困窮度より、成績や研究に対する取り組みや熱意なので、まいこさんのご家庭も対象になります。また、帝人グループ各社への入社や付帯義務がないので、勉強しながら将来についてゆっくり考えたい方にもピッタリです。
メディカプラン京都
すこやか薬局を運営しているメディカプラン京都では、薬剤師資格取得後に入職を希望する薬学生を対象に、1学年60万円を6年間貸与してくれます。
1年勤務をすると60万円ずつ返済が免除になり、6年間勤務で全額免除を受けることができます。原則として無利子なので、まいこさんが将来、保険薬局での勤務を希望しているなら選択肢のひとつかなって思います。
また、住んでいる場所によっては、経済的な条件を設けずに給付・貸与してくれる自治体の奨学金があります。市町村や県のホームページで紹介されているので、こちらも併せてチェックしてみてくださいね。
このような奨学金を利用して、卒業してから働きながら返すことも考えてみませんか。求人の中には、奨学金の返済を肩代わりしてくれる企業だってあるんですよ。例えばこちらの一覧の中には480万円奨学金の返済を給付してくれる企業もあります。
その他にも、私が通っていた大学では成績上位優秀者に奨学金を給付する制度がありました。成績の優秀なまいこさんであれば、こうした奨学金を目指すのも良いと思います。金額は年間数十万円と学費を賄えるほどではありませんが、上記の奨学金に加えてこのような奨学金を併用すれば、学費の負担はグンと減りますよね。
卒業してから多額の借金を抱えるのは不安だと思いますが、色んな奨学金制度を検討してまいこさんの将来の夢や条件に合ったものを賢く選んでくださいね。
- 最終更新日:2020年6月4日
- カテゴリー:転職ご相談事例
- タグ:薬剤師になりたい学生