ドラおじコラム
薬剤師の転職サイトってどこがおすすめなの? 何がちがうの? 転職のプロに聞いてみた
こんにちは! 薬剤師のみどりです。
あなたは、過去に転職サイトに会員登録をしたり、転職サイトで求人を検索したりしたとき、どういう基準でそのサイトを選びましたか?
薬剤師向けの転職サイトは一見するとどれも似ているため、「どのサイトを使ったって同じでしょ?」と思うかもしれません。
しかし、これはあまり知られていないのですが、運営元の紹介会社ごとに得意・不得意分野があったり、求人紹介以外の付加サービスが違ったりしていて、実はけっこう差があるんです! それが何か知っていれば、次にあなたが行う転職活動はもっと有意義なものになるはずです。
今回は薬剤師転職のプロ・ドラおじさんに、「安心して使えるオススメの薬剤師向け転職サイト」について、ぶっちゃけ話を聞いてきました!
1分要約
薬剤師の転職サイト、何が違う?
もくじ
登場人物紹介
- ドラおじさん
- 薬剤師専門の大手人材紹介会社に勤務していたアドバイザー。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。(ドラおじさんの詳細はこちら)
- みどり
- 当サイトのナビゲーターで、都内の製薬会社でDI・学術担当として従事している設定の薬剤師。中の人は薬剤師が監修してます。全国の悩める薬剤師たちを代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!
さて、以前の記事で「転職するときには転職サイトは最低3つは登録したほうが良い」というお話をされていたと思いますが、今回はそれに派生して、じゃあどこに登録するのがいいのか? というのをメインにお話しいただきたいと思います。
はい。転職サイトって、薬剤師さんが数回使っただけだと違いが分からないと思うんですけど、各サイトごとに登録するメリット、デメリットがあるので、今回はそれをなるべく公平に紹介したいと思います。
よろしくお願いします。
1.まずは大手紹介会社がやっている転職サイトを使うべし
まず基本ですが、転職サイトは「大手の人材紹介会社」が運営しているものに登録するところから始めたほうが良いです。
へーそうなんですか。どうして、小さい会社の転職サイトではダメなんですか?
小さい紹介会社は、1つ1つの求人案件に対するヒアリングがしっかりできていない可能性が大手よりも高いからです。
求人サイトって、求人の数がある程度多くないと求職者から相手にされないんですよ。なので、どの紹介会社でもまず求人の数を集めることから始めるんですけど、小さい会社ってそもそも人手が足りないので、どうしても求人案件1件ごとの情報量が薄くなっちゃうんですね。
例えば「薬局の雰囲気」とか「一緒に働く薬剤師さんの性格」とか、単なる求人情報だけじゃ見えてこない情報ってあるじゃないですか。
そうですね。というか、ほとんどの求人情報でそこまで詳しくは書いてないですよね。大体、表では都合のいいことしか書かないですもんね。
小さい紹介会社は、こういう細かい情報、薬剤師さんが本当に気にしている情報をきちんとキャッチしてサイトに反映できていないケースが多い。あと、求人検索サイトに載せている情報も、古いものをそのまま放置しているようなケースをよく見かけます。
その点、大手紹介会社はスタッフを数多く抱えているので、適切に管理可能な求人の数が小さい紹介会社よりも断然多くなります。また、1つ1つの求人案件に対する細かい情報収集も、必然的にしっかりされやすくなるというわけです。
そうかぁ〜、規模がモノを言うわけですね。じゃあ、小さい紹介会社は絶対やめたほうが良いんですか?
いや、そんなことは無いです。小さい紹介会社のなかには、特定の地域に特化していたり、大手にはなかなかマネできない特殊なサービスを売りにしているような紹介会社もあるので、もし仮に転職の目的とその紹介会社の得意分野が運良く合致していれば、使う価値は大いにあります。
ただ、転職初心者だとその辺を見極めたりするのも無理だと思うんですよね。なので、まずは大手数社を登録してみて感触を掴んでいただくほうが良いと私は思いますね。小さいところに登録するのは、その後でも遅くないです。
まあ、そうですよね……わかりました。薬剤師向けの紹介会社で大手って、どこになるんですか?
大手もいくつかありますが、私は「マイナビ薬剤師」と「リクナビ薬剤師」の2つを最初におすすめすることにしています。
この2つは他の転職サイトと違って、薬剤師ではない、いわゆる一般人材紹介のほうから来ているサービスなんですよ。なので構造的に、紹介のノウハウを他社よりも豊富にため込んでいるはずなんです。
で、その次に検討する価値があるのが、大手調剤チェーン系列の転職サイトである「ファルマスタッフ」と、日本の医療業界に大きな影響力を持っているネットベンチャー、エムスリーが運営する「薬キャリ」。とりあえず、この4つは鉄板です。
あと大手ではないんですが、オーダーメイド求人というちょっと珍しいサービスを展開している「ファーマキャリア」についても、最後に紹介したいと思います。
分かりました。じゃあ、おじさんイチ押しの転職サイトである「マイナビ薬剤師」「リクナビ薬剤師」とその他3つについて、順番にそれぞれどういう特徴を持ったサイトなのか教えてください。
2.マイナビ薬剤師は「アドバイザーとの面談」が強い
まずは「マイナビ薬剤師」ですね。これは名前のとおり、マイナビグループが運営している転職サイトです。
マイナビ薬剤師は、就活情報サイトで有名なマイナビという会社がやっている薬剤師求人サイトです。マイナビ薬剤師の特徴は、他社に比べて「面談」に力を入れていることです。
あっ。そういえば確か、マイナビは「会う」みたいな広告、見たことある気がする!
そう。まさにそれのことです。
面談って、キャリアアドバイザーの方に相談するときの「面談」のことですよね。それに力を入れているって、どういうことなの?
えっとですね……一般的な薬剤師向け転職サイトでは通常、キャリアアドバイザーとのやり取りは電話が基本です。直接お会いしての「面談」は、手間が掛かるので普通はやらないんですよ。
え、そうだったんですか?! 私、自分が転職したときは面談してもらってたので、それが普通だと思ってました……。
みどりさんはずっと東京ですよね。東京であれば、希望があれば面談もできるんですけど、東京以外の支店が無い場所での紹介は「電話でのヒアリングのみ」が普通なんですよ。
しかし、マイナビは全国の主要都市に支店をいっぱい持っているので、東京以外のところでも面談が設定しやすいというわけです。
加えて、さっき言ったとおり会社の方針としても「会う=面談」に力を入れているので、電話やメールではなく直接会って相談をしたいという方には、マイナビ薬剤師が合ってるんじゃないかと思いますね。
それは有難いですね。私、転職するときに面談でかなり助けられたので、面談できるかどうかは大きいと思います。
マイナビってなんとなく雰囲気が良いので、「アドバイザーが親身に対応してくれた」とかで評判が良いらしくて、転職者の満足度も大手紹介会社の中では一番高いんですよ。会社の業績も、どうやら順調に伸びているようですし。
あと担当するアドバイザーも、なるべくベテランのスタッフを担当に据える体制にしているらしいので、そういう意味でも安心感があります。他の会社だと、経験の浅いペーペーが担当になっちゃうことがよくあるので。
なので、まだ一度も転職活動をしたことがない転職初心者の薬剤師さんは、「マイナビ薬剤師」を使うと安心なんじゃないかと思いますね。
めっちゃ良いじゃないですか、マイナビ薬剤師。ダメなところなんてあるんですか?
えっとですね、ダメってほどでもないんですけど一応2つあります。まず、マイナビ薬剤師は派遣をやっていません。なので、派遣がやりたい薬剤師さんは登録しても無意味です。他をあたりましょう。
あと、個人的な意見なんですけど、面談で薬剤師さんに直に会ったからといって、転職の結果が何か良くなるってわけではない、と、私は思うんですよね……。
えーっ!? そ、そうなんですか? じゃあ今までの話、ぜんぶ意味ないじゃないですか!笑
ただ、求職者からしたら「なんとなく」安心感があるから、良いじゃん?ってなることはあるのかなと。大事な話は直接、会って話がしたいんだ!って方もいらっしゃるでしょうし。そんな感じですかね。
ちょっとかわいそうな紹介のしかただなぁ……私は良いと思いますよ、面談。笑
3.リクナビ薬剤師は「大手有名企業への紹介」が強い
次は「リクナビ薬剤師」ですね。
リクナビ薬剤師は名前の通り、リクルートグループが運営している転職サイトです。ここもマイナビと同じで、一般人材紹介から医療系人材のほうに来たパターンの紹介会社ですね。
リクルートというのは薬剤師さんだとどういう会社なのかよく知らない人も多いと思いますけど、「リクナビ」っていう、一般企業に入る大学生なら使って当たり前みたいなサイトを運営している会社です。いま、総合人材系では日本最大手ですね。
確かに、名前は聞いたことあるかも?って感じですが……。薬剤師から見た場合、リクナビ薬剤師はどういう特徴がある転職サイトなんですか?
リクナビ薬剤師の強みは、大手企業とのパイプが他の紹介会社よりも強いということです。なので、大手に行きたい場合はリクナビ薬剤師がオススメですね。
……あの、すいません。「パイプが強い」って、何ですか?
「大手企業に対するヒアリングを、他社よりも頑張っている」ってことです。リクナビ薬剤師は、大手企業専任の担当者っていうのを企業ごとに付けているんですよ。マイナビ薬剤師その他は、これをやっていません。なので、大手企業の求人についてはリクナビ薬剤師のほうが持っている情報量が必然的に多くなります。
それって、薬剤師さんにとってはどんなメリットあるんですか?
まず大手企業に関しては、リクナビ薬剤師を通したほうが内定確率が高くなります。あとリクナビ薬剤師経由だと、大手企業は他社よりもより正確なマッチングが期待できるとも言えます。
えっ、本当ですか!? じゃあ、大手に行きたいなら絶対にリクナビ薬剤師経由がいいじゃないですか。
でも、そんなことって本当にありますぅ?
いや、ありますよ。内定確率が高くなるのは事実です。なぜそうなるかというと、リクナビ薬剤師の担当者が、大手企業の人事責任者と日常的に会話をすることで、面接の傾向を正確に把握するからです。マッチングの精度が高くなるのも同じ理由ですね。
そう言われるとたしかに……それが「パイプが強い」の意味なんですね。でもなんで、リクナビは大手押しなんですか? もちろん理由があるんですよね。
単純な話で、そもそも大手は1回あたりの採用数が多いですよね。あと人材市場というのは、市場原理として淘汰が始まれば大手に集約されるものなので、それを見越して大手に寄せているというのもあるでしょうね。おそらくですが。
へえ〜だから、担当を専任で張ったりするのもちゃんと理にかなっているというわけですか。なんか、したたかですね。
リクルートっていうのは、昔からそういう会社なんです。だから「営業が強い」ってよく言われるんですよ。しかも今って、薬局はM&Aが増えてちょうど淘汰の時期に差し掛かっていますよね。紹介会社としても、いまは圧倒的に大手への紹介をすべき時期なんです。
じゃあ、リクナビ薬剤師が一番良いんじゃないんですか?
そこが難しいところでして……まず強みの裏返しになるんですが、小規模な薬局の求人や、地方の求人の紹介に関しては、リクナビ薬剤師は弱い。というか、あまり力を入れてないみたいですね。あと、リクナビ薬剤師もマイナビ薬剤師と同じで「派遣」を扱っていません。
さらに付け加えると、リクナビ薬剤師はマイナビ薬剤師と比較すると、アドバイザーの数が少ない状態で回しているらしいんですよね。
なんでそんなこと知ってるんですか……笑 アドバイザーの数が少ないと、なんか問題でもあるんですか?
当面は問題ないんですけど、中長期的にはちょっと。アドバイザーの数が少なくても、規模的に登録者数はそんなに変わらないはずですから、アドバイザー1人あたりの受け持ち登録者数は必然的に多くなります。
ってことは、リクナビ薬剤師のアドバイザーはいまめちゃくちゃ忙しいはずです。優秀な方なら問題ないはずですが、アドバイザーによっては、他社よりも満足のいくサービスを受けられない可能性があります。
うーん、こじつけっぽいけど確かにそうか……。もっと採用頑張って〜リクナビ薬剤師!w
4.ファルマスタッフは「派遣求人の紹介」が強い
次は「ファルマスタッフ」ですね。ファルマスタッフは、調剤薬局チェーン第2位の「日本調剤」の子会社、メディカルリソースが運営している、薬剤師向け転職サイトです。
へー、日本調剤が転職サイトなんてやってるんですね。そういう会社って、他にもけっこうあったりするんですか?
はい、よくある話ですよ。これのメリットを1つ挙げるとすれば、薬局の内部事情をよく理解しているアドバイザーが担当してくれる可能性が高いということですね。大手の日本調剤の子会社であれば、なおさらです。
ただ、リクナビやマイナビのように元から紹介業を営んでいたわけではないケースがほとんどなので、この2社と比較すると、紹介ノウハウの部分ではどうしても見劣りしてしまうんですが……。
なるほどぉ〜。で、その中でも、ファルマスタッフをおすすめする理由っていうのは何なんですか?
理由は1つで、ファルマスタッフは「薬剤師の派遣」が圧倒的に強い。派遣薬剤師の売上高と、求人取扱数では、業界トップです。なのでファルマスタッフは、派遣をやりたい薬剤師さんには必ずオススメしている転職サイトですね。
そうなんだ。いやでも、リクナビやマイナビが薬剤師の派遣をやってないっていうのは、ちょっと不思議ですね。やってくれればいいのに。
それはおそらく、会社の方針としてやってないんでしょうね。薬剤師の派遣って、薬剤師を雇う薬局側からは「コストが高い」ということで敬遠されていますから。
特に最近だと、診療報酬改定を受けて薬局の利益が落ちてきているので、派遣市場も今後は落ち込むことが予想されています。なので、派遣薬剤師っていう働き方自体もだんだんおすすめしづらくなってきているんですよ。派遣をやりたい方は、その点を念頭に置いておいたほうが良いと思います。
薬剤師の派遣については、こちらの記事で別途詳しく解説していますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
5.薬キャリは「とにかく条件が大事な人」に向いている
次に「薬キャリ」ですが、ここはですねぇ……先に言っておきますが、かな〜りクセのあるサイトです。
そ、そうなんですか(笑)どんな転職サイトなんですか?
まず転職サイトとして特筆すべきなのは、求人数が多いということです。数で言えば間違いなく日本一。これは言い換えると、薬キャリにしかない薬剤師求人がたくさんあり、より条件の良い求人が見つかる確率が他の転職サイトよりも高い、ということです。
え? それってものすごく良いことですよね。でも、なんで「求人数は間違いなく日本一」なんて言い切れるんです? 他の転職サイトだって、けっこう頑張ってると思いますけど。
それはですね、薬キャリが、求人数が多くなる仕組みをちゃんと作ってるからです。
これはまず、薬剤師の求人ってどうやって出来るの?って話をする必要があるんですけど。基本的には、その辺にある薬局なり病院なりに電話して「求人ありますか?ウチのサイトに求人載せませんか?」って営業して、求人情報を集めるんですね。薬キャリは、これをやるためのスタッフをめっっちゃくちゃ沢山雇ってるんですよ。
めっっちゃくちゃ沢山って、どんだけ沢山雇ってるんだろう……笑
で、さらに薬キャリがすごいのは、ぜんぜん薬剤師の求人募集とかしてなさそうな薬局とか病院にも、ダメもとで電話を掛けていってるってことです。
あと、それに加えて「どこどこの地域で働きたい」って薬剤師さんが言ったら、その地域の薬局なり病院なりに対して「こういう人が居るんですけど雇いませんか?」っていう確認をすぐに電話で行います。
それこそ、募集してるとかしてないとか関係なく、少しでも人員状況が変化している可能性をくまなく確認していきます。とにかく徹底的なんですよ、やることが。
こんなことを長年ず〜っと続けているので、そりゃあ求人数が多くなるのは当たり前ですよね。
なんか……すごいですね、圧が(笑)薬局とかから嫌がられないんですか?
嫌がる人は居ますね、実際。募集してないところに電話を掛けるわけなんで、「今は大丈夫です」って言われる可能性は高いです。当たり前ですけど。ただ、逆に「ちょうどいま人手が足りなくなって困ってたんですよ〜」って薬局もあるんで、一定数は決まるんですよ。
エムスリーが運営している「m3.com」っていうポータルサイトがあるんですけど、ここ、薬剤師の登録者を12万人も抱えてるんですよ。医療ポータルサイトでは間違いなく日本一です。だから、求人載せませんか?って言われたらそりゃあ、載せますよねっていう。
m3.com って、私も登録してる気がする。
薬剤師っていま日本に30万人居るんですけど、12万人って言ったらその4割ですから。みどりさんが使ってても全然おかしくないです。
でもここまで聞いた限りだと、別にクセがある感じはそこまでしないんですけど。求人数が日本一なのも、頑張ってる感じしますし。一体、どの辺にクセがあるんですか?
薬キャリは、紹介斡旋のしかたにクセがあるんです。私は「条件だけ紹介」って呼んでるんですけど。
条件……なに??? なんですか?それ。
「条件だけ紹介」。すいません、これ私の造語なんですけど(笑)簡単に言うと、年収とか、勤務時間、通勤距離みたいな、計測可能な「分かりやすい希望条件」を他社よりも重視して紹介・斡旋するやり方のことです。
例えば、年収800万円が欲しい薬剤師さんが転職相談に来たとするじゃないですか。そのとき薬キャリは、年収800万円の求人をどっかから探してきて、そのまま紹介します。
……? それって普通ですよね。
いや、それがそうでもないんです。私だったらこうします。
まず、薬剤師で年収800万円って、普通の調剤薬局勤務の薬剤師としてはちょっとおかしい条件なんですよ。キャリアにもよりますけど、普通の薬剤師さんだったら、誰も行きたがらないような僻地で働くとか、人が嫌がる仕事をするしかない条件です。
だから薬剤師さんの希望を叶えられる求人をそのまま紹介するだけだと、年収800万円は達成できるけど、いざ入社してみたら「こんなはずじゃなかった」みたいな、実は希望と仕事内容があんまりマッチしていなかった、みたいな可能性が比較的高いんですね。
確かに、そのパターンの失敗は有りそうな感じがする。
それを防ぐために私だったら、なんであなたは年収800万円欲しいのか?をまずヒアリングします。その上で内容によっては、一旦年収650万円くらいでどっかの会社に入って、キャリアアップして数年後にエリアマネージャーになり、年収800万円を貰うのを目指しませんか?とか、そういう提案をするかもしれないです。
なるほど……そういう収入アップのやり方もあるんですね。
薬キャリは、こういう紹介をやらない傾向があります。なんで?とかそこまで聞かないでしょうし、「あなたは現職に残ったほうが良いですよ」とかもまず言わないです。
なんか、軽いですね。笑
悪く言うとそうなりますね。でも一方では、さっき説明したとおり、求人を集める部隊がこの人の希望条件をちゃんと叶えるためにくまなく電話をかけまくるわけですから、そこは評価できますよね。こんなこと、他社ではあんまりやってくれないですよ。
事実、紹介会社各社はこの薬キャリの「電話かけまくり」作戦を真似し始めてますからね。それだけ、求職者である薬剤師さんにちゃんと支持されてるってことなんです。
へぇ〜そうなんだ。でもさっきの話を聞いた限りだと、万人におすすめはできない気がするんですけど。
おっしゃる通り。個人的に薬キャリは、使ったほうが良い人と使わないほうが良い人がはっきり分かれるサービスだと思っています。
まず使ったほうが良いと思うのは、とにかく条件が固まっている人。社風とか、職場の人間関係とか、キャリア形成みたいな曖昧なものではなく、給与、勤務時間、自宅からの距離みたいな、分かりやすい勤務条件を重視したい人には薬キャリがおすすめです。
特に私が薬キャリに一番合っていると思うのは、自宅から近い場所で働きたいパート希望の人ですね。
育児や介護をしながら働きたい人で、勤務時間に明確な制限があり、なるべく電車やバスを使わずに自宅から自転車で通勤したい。仕事内容は普通でいいから、とにかく10円でも20円でも多く時給を貰いたい、とか。そういう人は、薬キャリがドンピシャ。
あと、たとえば慰謝料を払わないといけないとか、奨学金の支払いを早く終わらせたいとかで、どうしてもすぐにお金が必要!って方とか。それと、キャリア相談はそこまで重視してないから、自分が希望してる条件の求人をとにかく沢山出してくれれば良い!って方もおすすめですね。
これ私ですわ。笑
おすすめできないのは、上記の逆。希望条件が固まっていない。勤務条件よりも、社風や仕事内容を大事にしたい。給料はそこまで高くなくていい。長期的な視点でじっくりとキャリアを考えたい。そういう相談をしたい方が、安易に薬キャリに登録すると痛い目をみる可能性があります。他を当たりましょう。
6.ファーマキャリアは「相場より高い年収での転職」が強い
最後は「ファーマキャリア」ですが、ここは薬剤師向け転職サイトのなかでも「オーダーメイド求人」というサービスを打ち出している、ちょっと珍しい紹介会社ですね。
オーダーメイド??? って、何ですか?
えっとですね。ふつうの紹介会社だと、薬剤師さんが転職相談に来られたときに、今すでに持っている求人リストのなかから良さそうなのを選んで紹介するのが一般的なんですけど。
ファーマキャリアの場合は、相談をもらった「後で」、要望にマッチしていそうな薬局とかに電話なりで提案をして「求人を作り出す」んですよ。
へー、そんなことできるんですか。
できます。ま、他社でもやってるコンサルタントはやってるんですけどね。ただ、これを基本サービスとして明確に打ち出して、しかもそれをコンサルタント全員でやっているっていうのは、私が知っている限りではファーマキャリアだけですね。
あとファーマキャリアのサービスにはもう1つ特徴があって、コンサルタント1人あたりの担当受け持ち数を少なく設定しているんです。つまり裏を返せば、登録者1人あたりにかけられる時間が他社よりも長いということになります。
へーそうなんだ。だから「オーダーメイド」なんですね。
でも見たところ、会社の規模は小さいみたいですけど。さっき、紹介会社は大手推奨って言ってませんでしたっけ?
そうですね……やっぱりファーマキャリアのサイトで求人を見てみると、大手サイトよりも情報量が少ないし、件数自体も少ないんですよね。
ただファーマキャリアであれば、さっき言ったとおり登録者1人あたりに掛けてもらえる時間が長いんで、その点はコンサルタントとのやり取りを通してカバー出来ると思っています。だから大丈夫かなと。
なるほど。
個人的には、ファーマキャリアだけを使うというよりは、先に挙げている大手の会社。どこでもいいんですけど、セットで比較して使ってみるとけっこう良い使い方ができるんじゃないかなと思います。
要は、セカンドオピニオン的な使い方ってことですよね。こんな人にはファーマキャリアがおすすめ!とかありますか?
おすすめなのは、これちょっと難しいかな……?って条件で転職したい人ですね。特に、相場より高い年収で転職したい人とか、あとは他の紹介会社で「その年収では無理です」って言われてしまったような人にはおすすめです。
登録者1人あたりにかけられる時間が長いということは、要はねばり強くマッチする求人を探したり、交渉したりしてくれるということです。だから、他の紹介会社で難しいと言われてしまった希望条件でも、ファーマキャリア経由であれば叶う可能性があります。
なるほど……ちなみに、さっき言ってた「掛けられる時間が長い」って話、実際どれくらい長く掛けられるんですか?
それはまあ、ケースによるとは思うんですけど。コンサルタントの受け持ち数が大手の会社のだいたい3分の1くらいという話なので、単純に裏を返せば、平均して3倍は長い時間をかけられているってことになりますね。
さ、3倍?!
はい。なんか聞いた話だと、1人のコンサルタントが月に4,5人の登録者を対応することになってて、1週間に1人の登録者に関する仕事だけをずーっとやってるとか、あるらしいですよ。あと、新人コンサルタントだとこれがもっと少ないらしいです。
そんなので商売成り立つんですか?笑
それが、成り立つらしいんですよ。薬剤師の紹介の決定率って普通だいたい10%〜15%くらいって言われてるんですけど、ファーマキャリアはこれが30%くらいらしくて、だから成り立つんだそうです。
これ、組織としてはかなりすごい数字です。要はそれだけ、他の紹介会社がすぐ諦めてしまうような難しい案件をきちんと決められているってことなので。小さい紹介会社であるがゆえの強みですね。
へー。じゃあ、本当に粘り強くやってるんですね。なんか、ありがたい話ではありますけど、中のコンサルタントの仕事はそれはそれでけっこう大変な気がする……。
大変でしょうね。普通は無理って言っても良いような案件を、無理って言わないで頑張るってことなんで。まあでもそれは仕事なんで、あんまり気にしなくてもいいと思いますよ。
7.転職サイトって、登録したらどうなるの?
ひと通り、どの転職サイトがどうなのかとかは分かったんですけど。そもそも転職サイトを使ったことがない薬剤師さんだと、登録したあとの流れがどうなるのかとか、何をしてくれるのかとか、全くわからないと思うんですよ。
その辺、最後に説明してもらってもいいですか?
分かりました。そういえば、みどりさんは紹介会社ってどのくらい使ったことあるんでしたっけ?
そうですね……私は前、転職したときに確か6つくらい登録して使ってました。転職したことあるのは1回だけなので、私が使ったことあるのはそれが全部ですね。
6つですか……よく1度にそんなに使えましたね……。それなら、転職サイトがどういうものなのかとかは大体分かってると思うんですけど、一旦ざっと説明しますね。
まず、転職サイトに登録すると、紹介会社の担当キャリアアドバイザーから電話がきます。そしてその人が今後、転職が完了するまでずっと登録者のサポートをしてくれます。
で、みどりさんのおっしゃる通り薬剤師さんは「紹介会社はじめて使います」って人もけっこう多いんですよ。なので、キャリアアドバイザーのトークマニュアルも、登録者と最初にしゃべるときはまず、はじめて登録した人の想定で作られてることが多いんですね。
へ〜、トークマニュアルとかあるんだ! 面白いですね。それ、なんてしゃべることになってるんですか?
まずしゃべるのは「紹介会社は完全に無料で使える」ってことです。紹介会社が提供する求人マッチングサービスに対して、薬剤師さんがお金を払うことは、どのフェーズでも無いってことを伝えます。
それ、知らない人なんて居るんですか? めちゃめちゃ当たり前だと思うんですけど。
まあ、稀に居ますね。私も実際に話すときは、いちいち「無料です」とは言ってなかったですけど。ただマニュアル上は一応、これを話すことになってます。
ちなみに、面接先までの交通費に関しては自己負担が普通です。離島とか、ものすごい遠方であれば出してもらえるケースもありますけど。あくまで、求人マッチングサービスにはお金がかからないってことですね。
で、次に「我々は求人の紹介をします」ってことと、実際どれくらいのスケジュールで転職完了まで行くのかって話をします。この点については、登録からだいたい3週間から1ヶ月くらいで転職先を決定される方が多いです。
実際に転職先で勤務開始するのは、人によるんですけど、引き継ぎとかもあるんで、登録から半年後とかが多いですかね。
けっこうかかるんですね。でも、そんなもんか……。たしか、仕事を辞める何日前に会社に言わないといけないとかルールがあるんですよね。1ヶ月前とかでしたっけ。
そうそう。就業規則上は、1ヶ月前か2ヶ月前に退職の申し出をするルールになっている会社が多いです。ただ、じつは民法第627条では、期間の定めのない雇用者であれば「2週間前に言っとけばOK」ってことになってるんですよ。
えーそうなんだ! 初めて知りました。
でもそれ、どっちに従えばいいの?ってなりません?
そうなんですよ。まあとはいえ、特段の事情がない限りは就業規則を守るのをおすすめします。守らないと、色々とめんどくさいので……。
あと登録者に説明するのは、紹介会社って転職を無理やりやらせる業者じゃないんですよ、っていうことですね。転職活動を支援する会社であり、あなたの希望を聞いてそれに合った求人を紹介するのが仕事です、ってことを話します。
それって……建前ですよね。
手厳しいな……。まあ、そうっちゃそうなんですけど……でも、ちがうんですよ。
実際に、無理やり転職させられた!みたいな話が薬剤師さんの間でもたまに出ていて、向こうもそれなりに警戒しているので、本当にそのくらいのスタンスじゃないと紹介ビジネスなんて無理なんですよ。すぐ逃げられるから。
だから私なんかは、仕事だけじゃなく生活のことも総合的に考えて「プロデュース」してるって自分の仕事のことを考えていまして。当時、実際に薬剤師さんにもそういう風に説明していました。
仕事のことは分かりますけど、生活のことをプロデュースって具体的に何するんです?
相談内容として多かったのは、引越し先を一緒に探してあげるとかですかね。あとは、子供の進路の相談とか、婚活の相談とかに乗ることもありました。
子供の進路とか……本当に紹介と何の関係も無いですね。そんなことに時間を使って、なんか意味あるんですか?
ありますよ。まず、薬剤師さんの満足度は当然上がりますから、それに伴って紹介が決まりやすくなります。だいたい「そんなことまでしてくれるの?」って驚かれますから。
あと、生活のお悩みって転職と関係が無さそうに見えて、実は密接に関係してたりするんですよね。そういう意味でも、生活のお悩みにきちんと乗るのはアドバイザーとしては合理的なんです。
そうなんだ……なんか、すごい話ですね。でも私が転職サイトを使ったときは、そんなことしてくれそうなアドバイザーなんて一人も居なかったけどなぁ……。全員がそうってわけじゃないですよね、勿論。
残念ながらそうですね。全員が全員ってわけじゃないです。
ただ、例えば書類作成とか、面接の日程調整とか、面接の練習とかは、どのアドバイザーでも頼めばやってくれるはずです。職務経歴書なんて、もう今は紹介会社が作るのが当たり前になってきていますから。薬剤師は、ですけど。なんで一旦、気にせずなんでも頼んじゃえばいいと思いますよ。
だいぶ赤裸々に語っていただけて結構おもしろかった気がするんですけど、ちょっとこの記事、長すぎないですか。笑
いや、こんなはずじゃなかったんですけどね……。
でも転職サイトって、各社けっこう違うんですね。私が転職したときは、こういう違いを特に意識して使っていなかったので、ちょっと意外でした。
まあ結局、マイナビ薬剤師、リクナビ薬剤師、ファルマスタッフ、薬キャリ、ファーマキャリアは、薬剤師さんが転職するならまず登録した方が良い鉄板の転職サイトなので、「じゃあどれを選ぶ?」という話ではないんですよね。
極端な話、ぜんぶ登録したっていいんですよ。転職に本気なんだったら、ぜんぶ登録すべきです。
ただ、会社によって得意分野、不得意分野があるので、それを分かった上で使ったほうがストレスなく転職活動ができますよ、という話でした。
分かりました。ありがとうございました!
※ 本記事は、マイナビ薬剤師、リクナビ薬剤師、ファルマスタッフ、薬キャリ、ファーマキャリアから提供を受けた広告リンクを含んでいます。掲載内容については弊社のコンテンツポリシーに基づき、弊社の監修アドバイザーの助言を受けて制作しています。
- 最終更新日:2020年8月5日
- カテゴリー:ドラおじコラム