転職ご相談事例
離婚して、慰謝料を払うのにお金が必要なんだけど、転職でなんとかならない?
- おさむさん
- 38歳、男性
私は、関東を中心に展開している調剤薬局チェーンでエリアマネージャーとして働いているものです。年齢は38歳です。
じつは先日、離婚をしました。それで、慰謝料と養育費を支払わなければならないので、年収を上げるために転職を考えています。現在の年収は600万円弱です。転職後の年収は最低700万円、できれば800万円は欲しいと思っています。
事情が事情ですので、場所は基本どこでも良く、それこそ僻地でも良いです。ただ、月に1回だけ子供に会うことができるので、できることなら休みの日に東京に行って帰ってこれる、関東近郊で働けないものかと思っています。
この期に及んで虫のいい話だとは思うのですが、このようなご相談は可能でしょうか?
1.基本は僻地の職場にポンと転職して終了
こういうのっぴきならない事情を持っている人の転職というのは、実はうまくいく確率が高いんです。人の嫌がる仕事でも一生懸命やるので。採用する側からも歓迎されますし、条件の交渉も簡単です。
「慰謝料を払いたい」というパターンの薬剤師さんは、私が紹介会社にいたときにも、3ヶ月に1人くらいのペースで対応していました。会社全体でも、月に1人は同様のケースを目にしましたね。年齢は40代の方が多く、性別は男性が圧倒的に多かったです。同じ男としては複雑な気持ちになりますが……。
なんというか、みなさん本当に全員が覚悟がすごくて「どこでも行きます」なんですよね。だから転職のしかたとしては、基本は僻地にポンと飛んでいただく感じになります。加えて、どれくらいの大変さまで我慢できるかとか、どれくらい家族の近くで働きたいかとか、そのあたりの調整をして終了って感じです。
2.どのくらいの年収UPが必要になるのか
東京家庭裁判所が出している「養育費・婚姻費用算定表」というのをご存知でしょうか。要は養育費の相場表なんですが、離婚の案件をやる弁護士はこれを見て相手方への請求額を決めたりしているんですね。なのでこれを見れば、このご相談者様がだいたい月にいくら養育費を払ってるのか知ることができます。
ま、もちろん実際のご相談の場面では、直接聞いてしまったほうが早いわけですが。
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今回のご相談者様の年収が600万円弱。また、この方に中学校を出る前のお子さんが2人いらっしゃると仮定し、かつ奥さんの年収が200万〜300万円くらいだと想定すると、月の養育費はだいたい7万円くらいです。これは私が過去にご相談者様から伺った内容とも合致しています。
月7万円を手取り月給から支払うとなると、額面では月10万円くらいが必要ですから、年収にすると120万円くらいは上げる必要があることになります。これが、多くは子どもが社会にでるまで掛かり続けます。10年とか、それくらいですかね。
で、それに加えて慰謝料。こちらは不貞等のひどさの度合いによってもかなり幅があって、少ないと100万円未満。多いと500万円以上になることもあるそうです。ただ、実際には貯金から支払いに充てたり、自宅を購入しているならそれを手放すことで支払いに替えるというケースが多いようです。
あと、「これから自分1人で生きていくってことを考えると、貯蓄もしなくちゃいけなくて」というようなことを仰る薬剤師さんもいます。これらを合わせ考えると、できれば年収800万円欲しいというのも理解できる話ですね。年齢も年齢ですから、体力的にまだ無理がきく今のうちに支払い分を稼ぎ切っておきたいとお考えになるのかも知れません。
3.斡旋先と、仕事内容の調整の詳細
斡旋先ですが、基本的には調剤薬局かドラッグストアになります。仕事内容は、どれくらいの年収アップが必要かと、冒頭で述べたとおりどれくらいの大変さが我慢できるか、あとその人が持っているスキルによってもご提案内容が変わってきます。
まず1番良いケースから紹介します。良いケースというのは、大変じゃないケースという意味です。何かというと、中小から大手の新規店舗立ち上げですね。茨城や栃木などのちょっと僻地の新規店舗の立ち上げで、管理薬剤師として行くケースで、年収700万円くらい出る案件が稀にあります。それが、今まで見た中だと1番良いケースですね。ただ、これは管理薬剤師の経験と、店舗の新規立ち上げの経験がないと駄目です。
たとえば関東近郊ではなく、北海道のはじっこや、本当に何もない山間部、離島などに転職する手もあり、場所によっては年収700万〜800万円を見込めます。特に場所の制約がないなら、これが一番楽。
ただし、子供と定期的に会うことができる約束を離婚調停のときにしているので、できれば家族からそこまで離れていない関東近郊などで働きたい、という方が多いんですね。このご相談者様もそうですが。そうすると北海道とか、離島なんかに行くのは厳しい。これがやっかいなんですよね……遠すぎるのもダメなわけです。なので、たとえば宮城とか福島に住めて、本当に仕事内容はどうでもいいから、休みのときにギリギリ東京に帰って来れる職場って無いですか?みたいな話になります。
ここでご提案するのが一番キツいやつで、何かと言うと各店舗のいわゆるヘルプ要員として、往復200キロくらいの距離を車で移動するのを週3回くらいやるという仕事です。なにそれ?って思うと思いますが、実際にあるんですよそういう仕事が。
例えば、基本は宮城で勤務するんだけれども、不定期で秋田、山形、岩手などに車で100キロ出張する、とかです。想像しただけでキツいですよね。これは本当に誰もやりたがりません。片道100キロですから、車でも2時間くらいかかります。しかもヘルプなので、いつどの店舗に呼ばれるか全然分からないわけです。ただこれなら、ある程度都市部に近いところで仕事をしながら、年収700〜800万円を稼ぐことができます。
このように、まず「新規立ち上げ」などの希少性のある仕事ができる人は、そちらをベースにご検討いただく。残念ながらそれがない方は、考え方的に「人の嫌がる仕事をやる」という選択肢しかないということになります。
ということで繰り返しになりますが、覚悟さえあれば転職自体は容易なので、ぜひ気軽にエージェントに相談してみてください。
なお蛇足になりますが、ご相談者様から、ご離婚された理由について教えていただけることは過去に1度もありませんでした。おそらく不倫が多いんじゃないかとは思いますが。個人的にもすごく気になるんですが、斡旋にそれほど必要ないプライベートな話ですし、あと毎回、変な重い空気になるので突っ込めないんですよね……。
ただ、慰謝料も養育費もけっこう払うということは、全面的に支払う側が悪かったのだろうというのは、間違っていないと思います。
不思議なのが、どの方も人当たりがよくて、何でご離婚されるのか分からないという方ばかりだったんですよね。面接に行っていただいても採用担当からの評価は総じて高くて、「真面目だし実績もあるし良いね」といった評価をもらうケースが多かったです。私たちエージェントとのやり取りも比較的スムーズにやってくださいましたし、どの方も、すごく良い人だなという印象でした。
どうしてこうなるのかは、よく分かりません。真面目ゆえに色々溜め込んでしまって、あるとき魔が差す、みたいな話なのか? ……やっぱり、考え出すと複雑な気持ちになりますね……。
- 最終更新日:2020年10月8日
- カテゴリー:転職ご相談事例
- タグ:30代男性薬剤師, ドラッグストアへの転職, 調剤薬局への転職