薬剤師が薬局から「人気の病院」に転職するのって、ムリ? 転職のプロに聞いてみた

公開:15/05/06 更新:17/10/05

薬剤師が薬局から「人気の病院」に転職するのって、ムリ? 転職のプロに聞いてみた

こんにちは!薬剤師のみどりです。

あなたは「病院に転職したいけれど、いまさらムリかなあ...」とお悩みではありませんか?

最先端の医療を学ぶことができ、薬剤師としての飛躍的な成長が期待できる「病院」での勤務。しかし、一般的には薬局から病院への中途での転職はかなり難しいと言われていますよね。さらにそれだけでなく、入った後は仕事は難しいし夜勤はキツいし、年収は低いし、ドクターにはいびられるし...でめちゃくちゃ大変な病院でのお仕事。

でも、でもでも!それでもやっぱりあの病院で仕事をしたい!という人は、一体どうすればいいんでしょうか?

今回は、薬剤師さんの病院への斡旋を何度も経験している「薬剤師転職のプロ」ドラおじさんに、薬剤師が病院にうまく転職するための秘訣や、間違いのない病院の選び方などについて伺ってきました!

もくじ

登場人物紹介

ドラおじさん

薬剤師専門の大手人材紹介会社から独立した、キャリアコンサルタント。薬剤師転職のプロ。見た目はメタボだけど仕事はめちゃくちゃ頼りになるおじさん。
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みどり

都内の製薬会社でDI・学術担当として従事する、現役の薬剤師。転職経験は1度だけアリ。全国の若手薬剤師を代表して、きわどい質問をドラおじさんにバンバンぶつけていきます!

今回は「どうしても中途で病院の薬剤部などに転職したい場合、どうすればいいか?」というお話です。ちなみにこれ、薬剤師さんの中には「ほとんど無理」だと思っている人もいると思うんですが、実際どうなんでしょうか?

結論から言うと無理ではありません。病院への転職は中途でも可能です。

しかし当然、薬局やドラッグストアよりは難しいですし、加えて、転職にあたって気をつけないといけないポイントがいくつかあるので、そのあたりをお話したいと思っています。

わかりました。できれば、病院にいきたい薬剤師さんの希望になるような内容でお願いします!

1.病院薬剤師の求人自体は割と出てる! が、しかし……。

ということで、まずは病院の求人状況がどうなっているのか、実際に求人サイトで見てみましょうか。これは、マイナビ薬剤師「東京都・病院・常勤」の条件で検索した結果です。

マイナビ薬剤師の病院求人の1例

264件ですか……あれ。病院の求人も普通に出ていますね。

はい。実は、薬剤師を募集している病院というのはけっこう普通にあって、病院への転職自体はまったく難しくないんですよ。

ただ、こうやって表に出ている病院の求人は「病院に行きたい!」っていう薬剤師さんには基本的におすすめできないケースが多いんですね。なぜかというと、ここに載っている求人のほとんどがいわゆる「慢性期病院」だからです。

……え? そうなんですか? これ慢性期病院ばっかりなんですか?

はい。急性期:慢性期=1:9くらいの割合じゃないですかね。

どうして分かるんですか? だって、慢性期病院だなんて書いていないものもありますよね。

それはですね、まず勤務時間が 9:00 〜 17:00 とか、短いものが多いですよね。これ、夜勤がないということなんですよ。そして年間休日も多い。あとは病床数が200床以下の小さい病院が多い。

これらの条件がそろっている病院は、慢性期って書いていない場合でも、だいたい慢性期ですね。それか、完全に慢性期だけじゃなくても、ほとんどが慢性期というような病院である可能性が高いです。

へーなるほど。そうやって見るんですね。

そもそも急性期病院の求人っていうのは、新卒採用で枠が埋まってしまっていて、中途で空きが出るということがほとんど無いんですよ。あと、たとえ出たとしてもすぐに締め切られてしまう。要は薬剤師さんから人気が高いんです。

逆に、慢性期病院は人気が無いですね……特に、若い薬剤師さんは嫌がる方が多いです。

どうして、急性期病院はそんなに人気なんですか?

なぜかというと、急性期病院のほうが慢性期病院よりもたくさんの患者・たくさんの症例に触れることができて勉強になるからです。慢性期病院での仕事は基本的に同じことの繰り返しなので、勉強にならないしつまらないと考えている薬剤師さんが多いですね。

ただまあ、薬学生のときの実習で行くのがほとんど急性期病院なので、そのときのイメージでなんとなく急性期を選んでいる方もいますけどね。

そうなんだ……。ちなみに、急性期病院の求人もたまーに掲載されているじゃないですか。これとか。

マイナビ薬剤師の病院求人の例2

これはダメなんですか? 残業も少ないみたいですし、駅近で、福利厚生もけっこう良さそうですよね。

ちゃんと見てみないと分からないですけれど、正直厳しいと思いますね。なぜかというと、急性期病院で募集が出ているのに埋まっていないという時点で、何かしら理由があると思うからです。たとえば場所が悪いとか、施設が古くて汚いとか。あと、専門性が高過ぎるとか。

そういうことかー……。まあでも、普通に考えてそうそう良い求人が都合良く残ってたりしないですよね……。

2.いわゆる「良い病院」への転職は無理なのか?

「病院への転職は難しい」っていうのは、全部が全部難しいんじゃなくて、みんなが行きたがるような人気の病院への転職が難しい、っていう意味なんですね。

はい。薬剤師さんがイメージする「病院での仕事」って、医療ドラマとかでよく出てくる大きい病院とか、有名な大学病院なんかでのカッコイイ感じの仕事だと思うんですけど、そういう病院に転職するのはまぁ〜〜〜難しいですね。

あのー……。そこ、なんとかならないんですか?

かなり難しいですけど、1つだけ方法があります。行きたい病院で、欠員が出た瞬間に応募するということです。

人気の病院で中途の採用枠が空くというのは、ほぼ間違いなく欠員募集なんですね。なので、そのお知らせをタイミングよくキャッチできれば、人気の病院にも入ることができる可能性があります。

病院への転職は、募集開始のタイミングが命!

募集が締め切られる前に応募するということですか。でも、欠員が出た瞬間にタイミング良く応募するなんて、そんなことができるんですか?

もしも行きたい病院が決まっているなら、病院の人事部に直接電話して聞けば、いま募集しているかどうかはすぐに分かりますね。ただまあ、欠員なんてそうそう無いと思うので。一番手っ取り早いのは、やっぱり紹介会社のコンサルタントに相談することですね。

うまいこと繋げましたね(笑)

いやいや、ほんとのことなんですって!

どこどこ病院の欠員が出た!みたいな情報を、キャリアコンサルタントがキャッチしてくれているっていうことですか?

そうです。実は、病院の欠員状況を網羅的に知っている可能性が一番高いのは、紹介会社なんですよ。なぜかというと、病院で欠員が出たときにはじめに相談が行くのが紹介会社だからです。

へぇー。紹介会社と人事って、そういう感じでつながってるんですね。

ちなみに、「3月の頭」はどの病院でも1年を通して最も欠員が出やすい、いわば病院転職の狙い目の時期なんです。なぜだか分かりますか?

3月の頭ですか……薬剤師の国家試験がある時期ですよね。何か関係があるんですか?

なぜかというと、3月の頭は新卒の内定者で、国家試験に落ちて入職できなくなる人が出やすい時期だからなんですよ。国家試験って、試験が終わったらすぐに自己採点するじゃないですか。で、自己採点の結果が不合格だった場合、当然、内定先にそれを伝えて内定辞退しますよね。

そこの空き枠に中途で滑り込むってことですか?

その通り。

え〜〜? そんなことが本当にできるんですかぁ?

できるんです! 薬剤師国家試験の合格率って年々下がり続けていて、ここ数年でこういうケースが増えてきているんですよ。こういうことが起こって、人事から紹介会社に急ぎの相談が来やすいのが、3月の頭なんです。

じゃあ、2月下旬くらいに紹介会社に登録をして、2月中にはコンサルタントへの相談を済ませて、3月のおこぼれを狙って行きたいということをしっかり伝えておけば、良い病院薬剤師の求人をキャッチできる可能性が高いということですか?

そうです。中途で人気の病院に行きたいなら、3月頭のタイミングは絶対に外したらダメですね。

なるほどねー……。新卒の方にはちょっと申し訳ない気持ちになりますけど、確かにこの方法なら比較的うまくいきそうな気がしますね。

3.難しい病院の面接を受かりやすくするコツ

なんだか、私でも人気の大学病院とかに入れそうな気がしてきました。

まあ何も有名な大学病院とかではなくても、紹介会社に相談してもらえれば、「急性期医療にしっかりと取り組んでいる良い病院の求人が1つだけ偶然空いてました!」みたいなのは割と期待していいと思うんですよね。

なので、まずは諦めずにキャリアコンサルタントに相談することが大事だと思いますよ。

あの、1つ気になっていることがあるんですけど。仮に、いま教えていただいた方法で人気の病院の募集枠に運良く応募できたとしても、その後に行われる「面接」で落ちたら意味ないじゃないですか。

そうですね。

例えば、普通の薬局とかドラッグストアって人手不足だから、面接で落ちることってぶっちゃけそうそう無いと思うんですけど、人気の病院だと、1つの枠に何人も応募することになるわけだから、必然的に選定の目が厳しくなると思うんですよ。

その辺ってどうなんですか? 何か、面接に受かりやすくなるためのコツとかあれば教えていただきたいんですけど。

はい。まず面接の難易度についてはご指摘の通りで、病院は難しいです。病院とか、あと企業の求人でもそうなんですけど、人気の高い求人に応募される場合には私も面接の指導を丁寧にやっています。

やっぱりそうなんですね。

そのときにいつもお伝えしているのは、まずは基本的な準備をしっかりとしましょうっていうことです。例えば、リクナビ薬剤師に「面接の準備」っていうコンテンツがあるんですけど、こういう普通の準備をしっかりすることがまず基本。

要するに、ちゃんと応募先のホームページは全部見ましょう、とか。志望動機も、なぜこの病院が良いのか、なぜこの病院で働かないとダメなのか、というのをきちんと説明できるようにしておきましょうね、ってことです。

なるほど。ただ、アレですね……なんかこう、もっとテクニック的なものって無いんですか?笑

えっと、一応あるんですけど、誤解を招きやすいのでこれは「基本がしっかりできている」っていう前提で話しますね。

まず、入りたい病院の薬剤部長とか、病院の院長とかいるじゃないですか。そういう人ってだいたい病院外で雑誌の取材を受けていたり、あとは学会で論文を発表したりとかしているケースが多いんですね。

そこで、そういう雑誌や論文をしっかり読み込んでおいて、面接のときにそれをうまくアピールできれば、採用角度が少しだけ上がるはずです。

転職先に関係のある、特集記事や論文は要チェック!

あーなるほど! それは確かに良さそうですね。要は、その雑誌や論文を読んだというような話をうまく志望動機とかに混ぜ込むってことですよね。

そうです。「そんなところまでよく見ているなあ」と感心されるはずですよ。面接の場に、それを書いた本人が同席していればなお良いですね。

あと、ちょっとレベルが低い話なんですけど「これは面接で話すとウケが良い」とか、逆に「これを面接で言ったらNG」みたいなのってありますか?

おそらくどの病院でもウケが良いのは「チームプレイ」の話ですね。病院って他の職場と違って、ドクターとか看護師とか、他にもいろいろな種類の専門家とやり取りをする機会が多いので、チームで協調してうまく動けるかどうかっていうのがすごく重要なんですよ。

なるほど。確かに病院だと、結構キツく言う人とか居そうですもんね。

そうそう。要はそういう「自分と反りが合わない奴ともちゃんと仕事ができる人材かどうか」がより重視されるんですよ。そこで、過去の職場でチームをうまくまとめ上げた経験とかを話すと、担当者に刺さりやすいですね。

あとNG発言ということで一番気をつけないといけないのは、時間の融通が効かなそうな発言ですね。「残業はできればしたくない」とか。病院は当直がありますし、時間的な拘束は当然、長くなるおそれがありますから。

やっぱりそこって面接で聞かれるんですか?

聞かれますね。「残業、多いですけど大丈夫ですか?」とか「当直は大丈夫ですか?」とか聞かれると思いますけど、これはもう即答でYESと言えないとダメです。ここで口ごもってたりすると、ちょっとこの人大丈夫かなと思われてしまいますね。

いやー厳しいですね……。

4.地雷病院を避けろ! 間違いのない転職先の選び方

ちなみに、これまで「急性期病院=良い」という感じでずっと話してきたんですけど、急性期病院のなかにもできれば行かないほうが良い、いわゆる「地雷」みたいな職場があるので、その点だけ気をつけて下さい。急性期病院がぜんぶ良いわけじゃないので。

どういうことですか?

これはまず前提としてなんですけど、薬剤師って、病院の中での地位がすごく低いんですね。端的に言えば、薬剤師って、病院では医師や看護師に比べればどうでもいい存在なんですよ。

いや、そんなことはないでしょう……。

いやいや、まあここでそれの是非についての議論はしないですけど、事実、そう思っている人がけっこう居るんですよ。

で、これは病院によっても違っていて、要はちゃんと薬剤師を大事にしてくれる病院もあれば、ぞんざいな扱いをする病院もあるんですね。この「ぞんざいな扱いをする病院」に間違って入ってしまうと、元々やりたかった魅力のある仕事をちゃんとやらせてもらえないことがあるので、注意が必要です。

ひどい話ですね……それが地雷ということですか。どうすればその地雷を踏まずに済むんですか?

はい。基本的にこれは回避できると思っていて、なぜかというと面接のときに職場の見学に行かされるんですよ。そのときに薬剤師やドクターとコミュニケーションがとれるはずなので、そこで何となく雰囲気を感じ取るというのが大事かなと。

要は、薬剤師が大事にされている度合いみたいなものを、その見学のときにチェックするということですか。

そうです。特に大事なのはドクターの対応ですね。例えば、ドクターがちょっと怖いみたいな。忙しさでイライラしているわけじゃなくて、ただ単純にウザイなみたいな雰囲気を出している病院は良くないですね。

ドクターの態度が悪い病院は、地雷だからやめとけ!

逆に、話しかけたときに、気さくに返事を返してくれるドクターが多い病院であれば、特に問題がないと判断して良いです。まあ、これを感じ取るのもまたセンスが必要だとは思うんですけど。

なるほど……いやしかし、ここまできて入職を辞退するというのも、けっこう勇気のいる選択ですよね。せっかくチャンスを掴んだのに。

もっともだと思います。この点について懸念がある場合は、担当のキャリアコンサルタントとしっかり相談をしたり、あとは現場で働いている薬剤師さんによく話を聞いたりして、間違いがないようにしないとダメです。

そうですよね。せっかく病院に入っても、やりたい仕事ができなかったら意味無いですもんね。

まとめ

薬剤師が薬局から病院に転職するときのポイント

  • 表に出てる病院求人はほとんど「慢性期」だから気をつけろ
  • 人気病院への転職は、3月頭の欠員募集を逃すな
  • 応募先に関連する雑誌の特集とかは、面接前に必ず読んどけ
  • ドクターの態度が悪い病院は地雷だからやめとけ

今回の内容は以上です。いかがでしたか?

ありがとうございました! なんだか今回は、転職のテクニックっぽいものを今までで一番教えていただいた気がしますね。言われた通りにやればどこの病院でも行ける気がしてきました。

んーまあ、厳しいことに変わりはないですからね。はじめに言った通り、病院はそもそも中途の文化がありませんから。

最後に1つ付け加えると、病院に転職したいと思っている人は早く転職したほうが良いです。年を取れば取るほど採用されにくくなります。特に30歳を超えるとかなり難しくなってくるので、できればその前に紹介会社に相談したほうが良いですね。

そうなんですか……分かりました。ありがとうございました!


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